しょーちゃんがセリフを覚えてる横で俺は洗濯物を畳んでいた。

しょーちゃんのTシャツ……。

しょーちゃんが台本を閉じたのを見計らって声をかけた。

「しょーちゃん…このTシャツの首のとこ穴開いてるから捨てていい?」
「ん……あっ!ダメだって。まだまだ着るの!」
「何で?Tシャツいっぱい持ってるでしょ?」
「覚えてないのか?このTシャツは雅紀が初めて選んでくれたやつだぞ。」
「え~そうだっけ?」
「空き時間に一緒に買い物行った事あるだろ?あの時、雅紀が選んでくれたんだよ。」

しょーちゃんは物をとっても大事に使う。そんなとこも好きなんだけど……。

「じゃあ家だけにしてね?間違って仕事行く時着ないでよ。」
「分かってるって。」

本当かな……。しょーちゃんはしっかりしてるけど、そんなとこはぼんやりしてるからなぁ。


「しょーちゃん、新しいTシャツ買っておこうか?」
「マジで‼何枚でもいいから買っといて。」
「好みじゃないのも選ぶかも知れないよ。」
「雅紀が選んでくれたやつなら何でもいい。オソロでもいいぞ。」
「Tシャツまでオソロはさすがにダメでしょ。」
「誰も気がつかないって。」

そういう問題じゃないんだけだなぁ~と思いながらしょーちゃんが喜んでくれる顔を浮かべるだけで…何か楽しくなった。