前回の話




Sーside

あれからさくらの様子を
見にできるだけ行った。


潤と斗真には急に付き合い
悪くなったと文句言われたけど


相葉くんとの時間を邪魔されたくなくて
彼女が出来たと嘘いって誤魔化した。


今日は待ち合わせして
病院に向かった。


「おぉ。さくらもう大丈夫だぞ。」

「本当に?」
相葉くんが駆け出して俺も
後を追った。

ゲージを覗くとちょこんと
座っていた。

「さくらちゃん元気になって
よかったねぇ。」
嬉しそうに喋りかけてる姿に
俺も自然と笑顔になる。

「元気になった事だし、里親
見つけないとな。」

松岡先生の言葉に頷きながら
「優しい家族に出会えたらいいね。」

そんな相葉くんを見てると
もし……おれがさくらを引き取ったら

相葉くんがさくらに会いに
俺んち来てくれるのかな……なんて。


……。

…………。

俺、何考えてんだ?

松岡先生が患者さんにも
声かけとくからお前らも
探せよな。と言われた。


帰り道、大丈夫ですという相葉くんを
いいから!と家の近くまで送って行くと
二宮が待っていた。

「あれーカズどうしたの?」

俺の方をあからさまに睨みながら
「携帯に電話しても繋がらないから
心配で待ってた。」

嘘だろ?いつ帰るのか解らないのに
普通待つか?それに心配って
ガキじゃねーんだし。

そんな俺を無視するように
「今日、母ちゃんが久しぶりに
飯食っていけってさ。」

「わぁ‼カズのお母さんのご飯
久しぶりだよねぇ。」

二宮は勝ち誇ったような
顔を一瞬見せ

「まーくん行こ。」

「うん。櫻井先輩、里親の事
考えておいて下さいね。」

「お、おう。」

そう言うとさっさと2人は
言ってしまった。

さっきまでも、楽しい時間が
一気に冷めていき、暫く俺は
動けなかった。