前回の話



Mーside

今日は山下と映画を観に行った
帰りになんとなく街をぶらついて
た時、後ろから声をかけられた。


「あれ?相葉くん。」


振り返ると生田先輩と櫻井先輩
だった。

「あっ。こんにちは。」

「今からどこか行くの?」

「特に・・。ぶらぶらしてるだけです。」

にこやかな生田先輩とは
反対に櫻井先輩は機嫌悪そうに
見えるのはやっぱり俺の事
最低なやつとか思ってるのかな?


なんて考えてたら生田先輩が

「じゃあさ。一緒にカフェでも
いかね?いい店があるんだよ。」

どうしようと思って山下を
見たら

「俺は別にかまわないよ。」
と言うと


じゃあ決まりなって言って先輩たちの
後に着いて行った。


連れて来られたお店は俺らが
入らないようなちょっと
大人っぽいお店で

本当にカフェ?と思ったぐらい
だった。


「ここ、珈琲が美味いんだぜ。」


生田先輩がメニューを見せて
くれたけど…世界中の豆を
取り扱ってるみたいで


正直、さっぱりわからないし
値段も・・。

山下もどうする?って目で
見てくるから


「先輩。俺らこんなこだわった珈琲
なんて飲んだ事ないのでさっぱり
わからないんですが…。」

「えっ?そうなの?じゃあ俺が
選んでもいい?」

「「お願いします。」」

生田先輩は笑いながら
てきぱきと頼んでくれた。

すると、櫻葉先輩が
「俺はカフェオレ。」

と思いもしない注文に
何だか可笑しくて笑いを
こらえてたら

「何だよ。悪いかよ?」
と口を尖らせて言うから

「いえ。だってここ珈琲の
こだわりの店なのにカフェオレって」

隣で山下も下を向いて
笑いをこらえてる。

「だろー。俺もさ他の頼めって
言うんだけど。翔はカフェオレしか
飲まないんだよ。」

「いいだろ!俺が何飲もうと
関係ねーだろ。」

ちょっと拗ねたように言う
櫻井先輩が可愛いなって思ったんだ。

珈琲は生田先輩が言う通り
詳しくはわからないけど

おいしかった…と思う。


すると、思い出したように
生田先輩が
「ところで。相葉くんは何の部活
入ってんの?」

「あっ!それはその~。」
忘れてた。あれはカズが咄嗟に
嘘ついたんだった。


しどろもどろになってると
山下が

「相葉は部活入ってないですよ。」

「えっ?そうなの?」

「あの・・はい。すいません!」

「なんだよー。バイトとかは
してないよね?」

「してませんけど?」

ニヤッと生田先輩は笑うと

「じゃあ放課後とか休日とか
一緒に遊ばない?」

「えっ?えー!何で俺なんかと?」

「相葉くん、中学の時女の子だけ
でもなくて男にもモテたんだって?」

「そんな!モテてないですよ。」

「またまた~。でも解る気がするな。
可愛いもん。相葉くん。」

「か、可愛くなんかないです。」
俺は真っ赤になりながら首を
ブンブン振った。

「とにかく、連絡先交換してくれない?」

「あっ。はい。」

すると山下が
「俺もいいっすか!実は俺先輩たちに
憧れて入学したんです。」

えっ?そんなの始めて聞いたけど。

生田先輩は本当かよ~なんて
言いながら山下と交換してた。

「櫻井先輩もお願いします。」

と、山下が言うと櫻井先輩が
スマホを取り出したのを見て


普段なら自分から言わないけど
何となく勢いで
「櫻井先輩、俺も交換してもらえ
ませんか。」
と言うと櫻井先輩は

「えっ?」
と言うと大きな目を見開いて驚いてた。

「なんだよー。相葉くん。翔には積極的じゃん。」

生田先輩の言葉に急に恥ずかしく
なって

「あ、あの。この間、櫻井先輩が
言ってくれた事、俺そんな考え
した事もなかったし、誰もそんな事
言ってくれる人もいなかったから…
その…感謝してます。」

「イヤ・・俺こそ相葉くんの事
そんなに知らないのに解った風に
言って悪かったと思ってる。」

「そんな事!カズともちゃんと
話しましたし。ただ・・カズは
誤解されやすくて、でも本当は
すごく優しいし、助けてもらった
事もあって。だから…。」

もう顔が赤くなって訳がわからない。

櫻井先輩も照れたように
「ありがとう」
って言ってくれた。

じゃあまた誘うからって
珈琲代は生田先輩がおごってくれた。

カードで払う生田先輩は
とても1年上に思えなくって

山下が小声で
「生田先輩、金持ちなんだったん
って。」

いくら鈍い俺でもそれは
知っていた。

「じゃあまた明日な‼」
先輩たちが帰るのを見送りながら

「ごちそうさまでした。」
とお礼を言うと

山下も
「ごちそうさまでした。マジで先輩たちと
こうして仲良くしてもらえたら
嬉しいっす。」
なんて本当に嬉しそうだった。

先輩たちと別れた後山下に
「本当に先輩たちに憧れて入学
したの?」
と聞くと

「うん。だってさ、家は金持ちで
普段はけっこう遊んでるのに成績は
いいなんてさ。カッコよすぎじゃん。」

「そ、そうだね。」

「いやぁ~俺、相葉と仲良くなってて
ラッキーだったわ。」

「何だよそれ!」

と、笑いながらそんな先輩たちが
何で俺なんかと仲良くなろう
なんて言うんだろと

その時はまだ呑気に思って
いたんだ。