中国人ルゥリィドゥに成りすました北朝鮮の工作員パク・ナムルは臨時列車に乗り平壌から北京に向かったダ。全て手はずは整えられていたようでパクは難なく北京国際空港からチャイナエアラインの飛行機に乗ってLA国際空港に降り立ったダ。
税関を通り到着ロビーでパクを出迎えたのは、見知らぬアジア系の若い女性であったダ。ソレとわかったのは、彼女が高く掲げたウエルカムボードに『ルゥリィドゥ、ようこそLAへ』と英語で書かれていたからだったダ。
パクは目ざとくソレを見つけながら、しかし、知らんぷりを決めて彼女の前を通り過ぎたダ。何故なら、そのようなシチュエーションに気恥ずかしさを覚えたからで、若い女性であることもさらに自意識過剰にさせて彼女との接触の回避を選択させたダ。彼は、母親以外の女性とまともに話をしたことがなかったダ。
そうこうして、どうするべきか思案しながらズンズン歩くしかないパクを女性は英語で呼び止めたダ。
女性「ルゥー!あなた、ルゥリィドゥでしょ?」
ソコで始めて、立ち止まる機会を与えられたパクはぎこちなく後ろを振り返っただ。キレイな顔立ちの女性が微笑んで立っていたダ。
女性「ほら、やっぱり。コレ、見えなかった?」
、
女性はボードを叩き、白い歯を見せて笑ったダ。パクもつられて笑いそうになって、堪えたダ。笑うのが、恥ずかしかったからダ。
女性「はじめまして。わたしはミシェル。ミシェル・リィ。あなたのフィアンセ。わかる?」
パクは度肝を抜かれたダ。いや、マシンガンで心臓を打ち抜かれた思いがしたダ。