みなさん、おばんです。

 

ヘイヘイヘイ!何をぼっーとしてるんだよ!オイラを呼び寄せたのはアンタだろ?さっさと目的地を言っちまいなよ。何処へ行きたいんだい?

 

アルアル・トンプソンと名乗るヒトデを見下ろし、カマちゃんこと鎌田ミノルは口をアングリ開けたまま固まってしまいました。その好機を見逃さず、レラ・サンは彼否彼女の口の中へダイブ!まんまとカマちゃん身体内部へのパラサイトに成功したのでした。

 

レラ「ジョンがいるのは、沖縄よ。沖縄に向かってちょうだい」

 

鎌田「オキナワ?沖縄にジョンがいるのね?」

 

レラ「そうよ。だから、そのヒトデに行き先を告げて」

 

鎌田「あなたが言えばいいじゃない」

 

レラ「わたしは彼に夢を見させることしかできないの。彼の夢はわたしを宿っているあなたを、あなたが行きたい場所へ連れて行くこと。細かい指示はあなたがするのよ」

 

鎌田「わかった。いや、本当はイマイチわかってないけど、そうするわ・・・というわけで、あなた、名前何て言ったかしら?」

 

アルアル「アルアル・トンプソンだよ!太平洋イチの星の航海師だよ!何度も言わせんなよ!ハズイだろ!」

 

鎌田「ゴメンね、アルアル・トンプソンさん、わたしは、沖縄へ行きたいの」

 

アルアル「おきなわ?何ソレ?ソレ何処?」

 

鎌田「沖縄って言ったら、沖縄じゃない。あんた、沖縄知らないの?」

 

アルアル「聞いたことねーな。まあいいや。地名はともかく、場所はどの辺なんだよ。緯度と経度を教えろよ」

 

鎌田「そんなの知らないわよ」

 

アルアル「知らない?じゃあ、どっちの方角だよ」

 

鎌田「どっちって、どっちよ。ここからだったら、南じゃない?」

 

アルアル「南?南でいいのか?真っ直ぐ南下して、南極まで行っちゃっていいのか?」

 

鎌田「いいわけないでしょ。沖縄よ。暖かいとこよ。島なの。細長い、小さな。いや、大きいのかな?わかんないけど、そうね、台湾とか、中国までは行かないけど、そっちよりの、南の島なの」

 

アルアル「OKわかった。じゃあ、そっちの方に行ってみるよ」

 

鎌田「そっちの方って、大丈夫なの?地図とか持ってないの?」

 

アルアル「オイラのこの、星型の天辺の方角の、ちょうどアンタから観て30度ぐらいの角度に、ポラリスがアルアルアルー!」

 

鎌田「ポラリス?」

 

アルアル「イエス!ポラリス!北極星アルアル!オイラの身体は、いっつもあのポラリスを指している。つまり北の方角を向いている。だからこの位置からぐるっと東に回ってアルアルアルー!」

 

 と雄たけびを上げて、アルアル・トンプソンは星の天辺を南西に200度ぐらいずらしました。

 

アルアル「アルアルアルー!上から順にプロキオン、ベテルギウス、そしてシリウスの三角の右隣に見えるオリオン座の一等星リゲル!あの星に縄を引っ掛けて、手繰り寄せて進むぜ!」

 

ダイオウイカ「ウイッー、ムッシュ!」

 

 鎌田さんは、アルアル・トンプソンが指し示す、初めて聞いた名前の星を見つけようと満天の星空を見上げましたが、見分けがつかず、あきらめて眠ってしまいました。

 

 

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