皆さん、おばんです。

 

あのとき、ボクは初めて神の啓示を受けたんだ。

 

あの日、ボクは、いや、ボクら子ども達は山の神の怒りを鎮めるために村中から集められた。村の大人たちの勝手な思い込みから。信仰という名の非科学的因習から。

 

大人たちは、逃げられないよう杉の木に荒縄でボクらを頑丈に縛り付けた。そして大人たちの一人は、言った。

 

神さんと言へども、イタイケな子どもを殺すことはようせーへんやろ。お前ら、神さんのご機嫌ソコねるようなマネしたらあかんで。泣いたり、わめいたり、イノチごいしたらアカン。いつもニコニコしてるんや。文句一つ言うてもダメや。不満を口にしたり、表情に出してもや。わかったな。ええか。徹頭徹尾ニコニコや。口角上げて、ニコニコしてるんや。そうしたら、神さんは、おまえらを避けて、村の脇に退けてくれはる。きっと。きっとそうや。ほな、頼むで。辛抱するんやで。ニコニコやで。ニコニコしてたら良いことあるで。

 

大人たちの言いつけどおり、ボクたちは黙ってニコニコしていた。

不安だった。怖かった。けど、大人たちの言うことを聞かないで逃げ出すことは出来なかった。

ボクたちは彼等なしでは生きてゆけないから。彼等に歯向かうことは死を意味するから、ね。

 

 

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