皆さん、おばんです。
米原子力空母ロナルドレーガンに家ごとラチられ、希望なき航海をする羽目になったわたし。
わたしはどうやらアメリカに連れて行かれるようなのですが、その他いろいろ、地名だか人名だか何だか耳なじみの無い単語を列挙せられ、その一つ一つに重要な意味を持たされている気もするし、そのように思わされている気もするし、とにかく不安でなりません。
わたしはその心細さを紛らわすために、ガラにも無く夜空なんぞ見上げちゃったりして、そのうち、どちらの方角を向いてるのか知りたく、北斗七星を探しますが、星が多すぎてわかりましぇーんカムバック!
街の灯から離れれば離れるほど星が見える数も増えてゆきます。都会では、星が見えるありがたみ、みたいなのがあるけど、海の上では無いね。満天の星空、なんて感動するのは最初だけですぐに飽きるわ。星の数と比例して不安も増すわ。自然との共生なんて人間側からのリクエストは自然に完全にシカトされてるわ。
わたしを見張っているCIAエージェントのナイキは、あれから何を聞いても答えてくれず、ずっとスマホをイジってばかりいます。
わたしはちょっと顔を上げて、カレに気付かれぬようにスマホをのぞきこみました。いいえ、実際は、眺めた、と言った方がいいでしょう。
わたしとカレとの間はおよそ3メートル弱離れていますが、本来ならその画面の文字及び内容などわかるはずないのですが、わたしには視えるのです!そうです!わたしは猫未満の脳みそを持ちながら、マサイ族以上の視力を持つ男なのです!
米国防長官モリス(以下モリス)「今、どの辺?」
ロナルドレーガン艦長ドリス(以下ドリス)「北緯38度、東経143度」
モリス「ミサイル、気をつけてね」
ドリス「気をつけようがないじゃん」
モリス「ハリスのとこで、撃ち落としてよ」
米太平洋軍司令官ハリス(以下ハリス)「動いてる空母をピンポイントで狙える技術力無いよ」
モリス「あるよ」
ハリス「ノースコリアのこと言ってる?」
モリス「そうだよ」
ハリス「だから無いって」
モリス「たまたま当たる場合もあるでしょ?」
ドリス「ヘタな鉄砲カズ撃ちゃあたる?SLBMとかやばいよね」
ハリス「SLBMって探知するのムズいらしいね」
ドリス「らしいって何?あんたどこの司令官だよ」
モリス「SLBMって何?」
ハリス「あんたどこの国防長官だよ」
ドリス「潜水艦から発射できる弾道ミサイル」
モリス「やばいじゃん。ハリスのとこで撃ち落としてよ」
ハリス「いい加減にしろ」
モリス「ありがとうございました」
ドリス「THAADって、どうなの?」
ハリス「THAADはまだ配備出来てないらしいよ」
ドリス「らしいって何?あんたどこの司令官だよ」
モリス「THAADって何?」
ハリス「あんたどこの国防長官だよ」
ドリス「サウスコリアに配備予定の高高度防衛ミサイル」
モリス「やばいじゃん。ハリスのとこで撃ち落としてよ」
ハリス「ウチのミサイルだっつーの」
モリス「ありがとうございました」
ドリス「トランプ、どう?大統領になれる?」
CIA長官クリス(以下クリス)「いろんな人の会話を盗み聞きしたけど五分五分だね」
ドリス「マジで?そんな可能性高い?」
クリス「ここに来て私用メール問題を蒸し返されたからね」
FBI長官コミー(以下コミー)「蒸し返す?適切な捜査だよ。見過ごすわけにはいかないよ」
クリス「マジメだね。ウチとは違うね」
モリス「ヒラリー、アドレス一つしか覚えられなかったんだね」
ハリス「アドレス覚えないでしょ」
モリス「トランプが大統領になったら、オレ辞めるわ」
ハリス「オレも。プロレスラーの悪徳マネージャーみたいな奴の下で働けない」
ドリス「何で?別にいいじゃん。日本を防衛しなくていいらしいよ」
モリス「らしいってあんたどこの艦長だよ」
ハリス「しなくていいの?ラッキー」
ドリス「ラッキーってあんたどこの司令官だよ」
モリス「ハリスのとこで撃ち落してよ」
ハリス「何を?」
ドリス「もういいぜ」
コミー「このライン、グループ以外の奴に見られてるよ」
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