皆さん、おばんです。

 

レラの頼みに応じた一匹のハンマーヘッドシャーク(以下HH)が自らのカナヅチ頭に鎌田さんを乗せて上へ上へと浮上してゆきます。

 

レラ「(助かった。けど、安心するのはまだ早い。こいつ〔鎌田ミノル〕の腹の中の海水を吐き出させなくてはならない。出来るだろうか。それがダメなら、いっそのこと、サメの腹の中に潜り込むか。サメに夢を見させてコントロールできるだろうか)」

 

HH「何をブツブツ言ってるのさ!」

 

レラ「え?わたしの想念が聞こえるの?」

 

HH「うん。もうちょい『念度』を抑えた方が良いよ。俺達『カン』だけは鋭いんだぜ」

 

レラ「そう・・・だからこんなにたくさんの仲間がわたしの助けに反応して集まってきてくれたのね」

 

HH「そうだね。アンタの声はずっと遠くからでも聞こえたよ」

 

レラ「お前はどこから来たの?」

 

HH「ハワイだよ。あの辺の島を縄張りにしてんだよ。アンタらみたいな人間はよく見かけるよ」

 

レラ「わたしは人間じゃないわ」

 

HH「人間じゃない?じゃあ、オレの頭に乗っけているのは何だい?」

 

レラ「人間よ」

 

HH「じゃあ人間じゃないか」

 

レラ「お前と『交信』しているのは、お前の頭に乗せている人間じゃないの。その人間の腹の中にいる金魚なの」

 

HH「金魚?人間の腹の中にいる金魚と話してるって?それじゃ、こいつの腹を食いちぎって確かめるぜ」

 

レラ「やめて。海の外へ出たら、姿を見せてあげるわ」

 

HH「わかった。それで、何だっけ?そうだ。人間だ。アイツら俺達の縄張りまで来てバチャバチャやってるだろう?うっとうしいから、たまに驚かしてやることがあるんだ。腹減ってイラついてるときは食ったりもするし」

 

レラ「食べる?」

 

HH「冗談だよ。アイツらなんか腹のタシにもならねえよ。脅して、追い払うのさ。俺達の存在を認めさせないと、ツケあがるからね」

 

 

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