皆さん、おばんです。
月灯りのスポットライトを受け文字通り命がけの奮闘空しく、力尽きて海のソコへ沈み込む1人の男。いや、オカマ。
カレの人生は誠に悲しいものでありました。いかなる努力も報われないものでありました。
しかーし、それでもカレは夜空に瞬く星の如く輝いておりました。その輝きを目にしたのは世界中で唯一人、このわたしだけだと自負しております。
ウっソでーす!いや、コレはウソじゃないでーす!カレの、ジョンに対する献身、その無上の愛、愛の極致の表れをわたしはこの目に焼きつけたのです。
カレはジョンのためにあらゆる犠牲を払ったのです。その結果がこのザマなのです。命をかけて人を愛するということは、こういうブザマな死に方をするということなのです。しかし、カレはそれで本望なのです。これがカレが選んだ天国への階段を昇りきる方法なのです!
ブクブクブクブク・・・・
海のソコへ沈んでいくオカマのカナヅチ、略してカマヅチこと鎌田さん。その鎌田さんの腹の中にいて、カレにカナヅチになる夢を見せてしまったレラ・サンは焦っていた。何故なら、レラは金魚だから。つまり淡水魚である彼女はカレの腹の中にいることでこの海の中で生きていられるのだ。どうするレラサン。危うしレラサン!
レラ「鎌田ミノル!!あなたはカナヅチなんかじゃない!あなたは、あなたは・・・そう、イカよ!大王イカなのよ!鎌田ミノル!わたしを助ける夢を見なさい!」
カナヅチになり切っていた鎌田さんはビクっと身体を震わせて、それから、やはり、そのまま、海のソコへ沈んでいきます。鎌田さんの意識のどこかでは大王イカになりきっているのですが、身体はソレに応えず、大量の海水を飲み込み危険な状態だったのです。
レラ「くそっ!海水が流れ込んできた。もはやこれまでか・・・ダメ。イヤだ。こんなことであきらめない。わたしは最後まであきらめない。わたしは夢を司る金魚なんだから。ナツハル(サーカス)に会うまではゼッタイ死なないんだから!」
と、そこへ黒い影が四方八方からウジャウジャ湧き出て、それが一塊になって鎌田さんを覆い隠しました。
レラ「何?これ何なの?」
角が丸い四角の影は口々に答えます。
オイラを呼んだ?お前が呼んだ?助けを呼んだ?お前が呼んだ?
何万匹というハンマーヘッドシャークが世界中からここに一堂、集結したのです!
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