皆さん、おばんです。


わたしは鎌田を部屋に招き入れ、オネショして濡れた布団の上に座らせました。


鎌田「・・・アレ?何だか、この布団、湿ってる?」


わたし「やだなー。『お湿り』してるのは鎌田さんの方じゃないのー?」


鎌田「イヤーン、もう、Mr.Homerunたら!ジョンより大きいのスタンドインさせる気?」


やばい。変なノリにさせてしまった。まあいいさ。気を取り直し、本題へ入ります。


わたし「ジョンは、いま何処にいるのですか?」


鎌田「わたしもジョンを探しているの。あなたなら、その手がかりを知っているかも、と思って」


わたし「わたしが?何で?」


鎌田「彼が姿を消した次の日、わたしの携帯に、『金魚、探してます』というメールが届いたの。それから連絡が途絶えてしまって・・・。金魚を探すって、あなたがジョンに依頼した『人探し』のことでしょ?」


わたし「まあ、人ではないけど、そうですね」


鎌田「それで、ジョンが言っていたことを思い出したの。あの人は、コントロールされてる、と。あの人自身の意志で、金魚を探しているわけではなさそうだ、と」


わたし「・・・」


鎌田「そして、あの人は、自分が何者か知らないし、もっとやっかいなのは、自分が誰だか知らないことを知らないで生きている。毎日、佐藤さんだったり、高橋さんだったり、その都度、新しい名前と身分を与えられて、それを疑わず、生きている」


わたし「・・・」


鎌田「その証拠に、ジョンの得意先名簿に書かれたあなたの名前は、この家の所有者、または賃貸人とも違う名前だし、電話番号の名義もその名前ではない。住民票もない。そして、いま、あなたは自分の名前を答えられない」


わたし「・・・」



鎌田「何故、そんな手の込んだことをするのか、させるのか、ジョンにもわからなかった。最初から、特定の名前を名乗らせればいいのに。最初からタネを明かして納得させたうえで操ればいいのに。しかし、そうしなかったのは、あなた以外の他人をあざむくため、というよりも、単純に、あなた自身に気付かれないために、そうさせているかも、とジョンは考えた。そして、金魚を探す目的を隠れ蓑にして、それ以上に重要な何かを悟られまいとしているのだと。とにかく、さっき言ったとおり、あなたが、自分が何者か知らないことを知らないままの方が、あなたを操る誰かには、とっても都合が良いのよ。あなたに自分の意思で、モノを考えたり行動したり、つまり『あるがままに』生きてもらったら困るのよ」

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