皆さん、おばんです。



カマちゃんこと鎌田ミノルの変なノリに水を差され、ホトホト嫌になったわたし。一方、スナメリ探偵ことジョン・ロトンはホームランを打つという当初の目標から少しもブレる様子がありません。


ジョン「さあ、ホームランを打つ練習を続けましょう。鎌田さん、お疲れのところ申し訳ないが、わたしの打ったボールを捕ってくれませんか?」

鎌田「捕る捕る捕る~!ジョンの玉なら捕って捕って捕りまくる~!」


いや、だからね、そういうノリ、やめてくれませんか?と、口もとまで出掛かった言葉をグッと飲み込み、わたしはグラブを鎌田に手渡しました。そのグラブを、鎌田はまるで汚いモノでも扱うように、薬指と親指とでつまんで持ちました。このとき、もちろん小指は立っていました。それから彼は、なんと、グラブの、手を入れるところの匂いを嗅ぎはじめたのです。それも、クンクン鼻を鳴らしてです!
わたしは腹立たしいのと恥ずかしいのとで顔が真っ赤になりました。
そうして鎌田は、許容範囲内の匂いだったのでしょうか、グラブを左手にはめて、公園の中央に向かって駆けて行きました。内股で、全速力で、です。
わたしは気を取り直し、「行くよ」とジョンに声をかけ、ジョンの腰の高さあたりにボールをポンっと投げました。
ジョンは豪快に、空振りしました。


わたし「Hey!ジョン!もっとリラックスして!力を入れるのはインパクトの瞬間だけだぜ!ボールがミートポイントに入るタイミングを掴んでテイクバックするんだぜ!始動は早い方が、ボールを長く見て引きつけて打つことが出来るぜ!つまり、バットスイングの軌道にボールを呼び込み、そのヘッドスピードの最高到達点でインパクトするというのが理想だぜ!打撃フォームは、手打ちになってもだめだし、身体が開いてもだめだぜ。まず、腰がまわって、それにキモチ遅れて腕~肩がついていく感じ。腰から下、腰から上を連動させて、身体全体で打つべし!ああ、それから、ホームラン意識し過ぎた極端なアッパースイングは振り遅れの原因になるし、アゴが上がってボールを見極められないし力が上方に向いてインパクトの力が半減してしまうぜ。レベルスイングでボールの下をこすり上げる感じが理想だが、それは難しいかな、そしてそれから…」


ジョン「はいはい、わかりました。もういいです。今日から、あなたをミスターホームランと呼ぶことにしましょう」


わたし「減らず口叩けるのも今のうちだけだぜジョン!行くぞ!」


と言って、わたしはまた、ジョンの腰の高さにボールを投げました。
ジョンは豪快に、空振りしました。


わたし「Hey!ジョン!ボールをよく見て!ボールとバットの距離が1マイルも離れているぜ!」

ジョン「OK. その距離なら馬より速く走れるさ!」

わたし「ジョーダン顔だけにしろよ!さあ、打ってみろ!」


というわけで、わたしがトスするボールをジョンが打つという単調な練習を、ジョンの店の仕込みが始まる時間まで、ノンストップで続けたのです。

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