小説★オット+ツマ=? 10 | みみぴちがってみみぴいい

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オット+ツマ=?                      の続きです。



2軒のアパートから 1軒のマンションに引っ越すのは 時間よりお金より体力より


工夫を必要とした。

そして工夫をするには どれだけコミュニケーションが必要かということを思い知ったほど

直人と紗江子は 言葉と言うツールを使い込んでようやく引っ越を終えた。


結婚とは共同作業だ という結婚式の祝辞の大御所言葉が沁みるね と

何度言い合ったか解らないほど 2人は話を繰り返した。



煮詰まった会話の最後には いつも同じ答えが浮かんだ。

子供たちは それぞれ自分たちの部屋を与えよう。

思春期を迎えたら 今のように仲良しの犬ころみたいにじゃれたりもしないだろう。


むしろ 反発しあう関係になるかもしれない。


その時 どちらも自分の子供を先に考えてしまうか逆にお互い譲り合って


自分の子供に無理な犠牲を強請してしまうかもしれない。


たくさんの想定をすることが 2人の会話が広がるきっかけとなり 寝る間を惜しんで

色々話をした。 どれほど話しても 果てがなかった。



紗江子はここまでじっくり人と話し合ったことがなかったな としみじみ過去を振り返る。

だから 離婚したんだわ。


大体 子供がいるのに離婚するって時だって話し合いをした記憶がない。


怒っているか 黙っているか 無視しているかのくり返しだったんだ。


人と相手の心を練って練って 練りこんで発酵させていくものなのだと 直人との


時間の中で知った気がする。


その自覚と発見に気付いたのと 顔つきが変わってきたね と周りに声をかけられるように


なったのが ほとんど同時だった。



暮らし方が 顔を作るのかもしれない。


皺の形や 位置や形が人生を象徴するのだろうか。 鏡を見ながらそう思った。


ゆったりとした気持ちが横たわる今の自分の時間。


それは涙が湧き上がるほど 感謝という気持ちに近いのだと


直人の存在を肩越しに感じるたび目を閉じた。


苦労してきたのは この人生のためだったんだ。 まっすぐにそう思えた。




引越しをして数日したある日 隣の女性にようやく遭遇した。


子供が同級生くらいだと思うけど 同じ小学校ではないようだね と


優と慎吾が話していたのを思い出した。


『こんにちは 先週引っ越してきた 隣の・・・』


紗江子が挨拶をしようと声をかけると その女性は立ち止まったまま泣き出した。


『ど どうかなさったんですか?』


『亀が 亀がいなくなってしまって・・・・』











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