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十数年ぶりに入ったラブホテルの入り口で 茜はかつてない緊張に 身が震えた。
その緊張に気づいたのだろう、 信哉は茜の顔を覗き込み
『辞めとく? いいよ。 茜が嫌なら。』 と懐かしさに身が焦がれそうな優しさを見せた。
学生時代の恋人と いまさらの ランデブー。
信哉の わかりやすい優しさが 懐かしい。
転んだら すぐに近寄ってきて 大丈夫?と手を差し伸べてくれた。
躓く前に 気をつけて と声をかけてくれた。
欲しいな と眺めていると それを手にとって 与えてくれた。
その 分り易すぎる穏やかさに 縛り付けられている気がして 別れを告げたのは
24歳の茜だった。
『大丈夫。ちょっと 飲みすぎただけよ。』 茜がそう答えると
『罪悪感があるなら やめとくよ。』 と信哉が茜の肩を ぎゅっと抱きしめた。
『かえっていいって言いながら 押さえつけてるの 誰。』
『嘘をついて ごめん。 いい人ぶる癖が 直らないんだな。
あとで 泣くほど悔いてもいいから 今日は 一緒にいてくれ。』
2人は エレベーターの中で キスを交わし 部屋に入るための 動きさえもどかしげに
着ているものを脱ぎ捨てた。
『子供を2人も産んだし 36だし、 昔とは違うのよ』
どうしても その一言を放っておかないと 茜は自分自身を解放できないと
動き続ける信哉の手を止めた。
『重ねた年齢に 嫉妬するほどだ。 新しい 違う茜を抱かせてよ。』
そうだった。 この男は 言葉で私を翻弄し 魅了し 乱舞させる雄だった。
身体の芯に まとわりついていた羞恥と言う皮が はらはらと 剥がれて落ちた。
子供のことも 夫のことも 過去のことも 明日のことも
忘れたい。 忘れたい。 忘れていいのだ。
そう思った茜は 信哉が導くままに 身体を浮かし 心を静めた。
お読みいただきありがとうございます
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久しぶりに いろっぺーースタートですね 笑
ワタシにとっては チャレンジです。 妻の浮気ですね。
みなさんは 浮気願望は ありますか???