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沖縄の海を 一人で眺めて 涙をこぼす日が来るなんて 思いもしなかった。
むすびは 真っ白な砂浜に 遠慮がちに波打つ白い泡たちを じっと見つめた。
悲しい気持ちで眺めても 美しい風景って 美しいんだ。
疲れているはずのむすびの心に 真っ白な砂浜が背景になって 悲しみの記憶を
ほんの少し ぼかしてくれる。
青って たくさんの青がある。 ああ 白にも たくさんの白があるんだ。
そんなことを 考えるのは 久しぶりだ と思う。
ずっと 自分の心と 自分の想いと 過去や彼の言動とを 思い出しては分析し
見知らぬ未来を描いては 消し 消しては描き 笑っては泣き・・・
疲れ切っていたむすびは 心で 恋愛以外のことを 感じたり考えたりしたかった。
海を眺めて 自分が何を感じるか 知りたかった。
空を仰いで 何を想うか 知りたかった。
一人で泊まって過ごす 真夜中に 何をしたいと願うのか 誰に会いたいと焦れるのか
知りたかった。
その相手が 全部 城所だとしても それならそれで とことん 感じて苦しみたかった。
連休も終わり 平日の沖縄だけれど 観光客は途切れることがないらしく
誰もが 未来にずっと 想い出すための思い出づくりに 沖縄を歩いていた。
手を繋ぎ 心を重ね 笑顔を与え合っている たくさんの希望と人。
先月 家族で沖縄に旅行していたらしい 恋人を 心の中で呪っているむすびは
小さな荷物と スケッチブックをキャリアに乗せて引きづっていたが
それでも 微かな希望も胸ポケットにしまいこんでいた。
。
であったばかりの頃 一緒に行こうねと 約束した 沖縄に
家族ときた城所を 恨みたいのに 城所と約束した自分を 呪ってる。
むすびは 城所が時折見せる 明るい笑顔を 思い出し この美しい海が似合っただろうな
と 思える自分の愛の深さに ちょっと感動した。
わがやの 先日の沖縄旅行は 楽しいだけだったんだけど 笑