ブログネタ:金曜の夜、お気に入りの過ごし方を教えて?
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ある週末の金曜日 抜け道に通った公園の片隅で 子猫が死んでいた。
人通りのある その公園の人目につく場所に横たわる子猫の死骸に
誰もが目を向けてから そっと逸らし 素通りしていた。
きっと 誰だって 哀しまなかった訳ではない。
敦は 麻美の傍から 知らない間にいなくなった。
戻った敦は 自分の首から 麻美が贈ったばかりのマフラーを解いて
猫に巻きつけた。 そして 黙ってどこかへ消えていった。
後を着いて行くと そこには 浅めの穴が掘ってあって そこに マフラーごと
猫を埋めようとしてるらしかった。
『マフラーごと?』 現実主義の麻美としては よりよって 贈りたてのマフラーを?と
イラっとしたし 黙って穴を掘るって? とムカッとした。
『ワタシに相談してくれたら もうちょっとましな穴を掘ったし
どうでもいいタオルがあったわよ。 そのマフラーを埋めるって けっこう ひどい。』
まだ 肉体関係もない相手だよな と思いながら 麻美は思ったとおりに言ってみた。
『あ 俺 そういうことに 鈍くってごめん。 わりーわりー。
今 この猫のことしか 考えてないからさ。 むかついたなら 謝るけど
同じことを 二度としないかどうかって言われると ちょっと 自信 ない。』
『そこらへんのとこ「理由に さんざん「女にフラれたことがあるって聞こえるけど 当たってる?』
『うーーーーん。 よくわかんないけど よくわかんないって言われるんだ。
二度としないでって言ったでしょ って 何度も言われる。 さっぱり わからないんだけどさ。』
麻美は やっぱり この男と付き合おうっと思った。
凍て付く公園の地面を一緒に掘りながら 『付き合ってみたい』と言ってみた。
『かわってんね、 思ってたより。 もっと まっとうな大人な女かと思ってたけど。』
『自分を選んだ女に対して 言うことが変だと思わない?』
『いや 正しい判断だろ ははは。 しかも このシチュエーションだよ。
普通 自らこのバックグラウンドは 選ばないよ。 墓掘ってんだよ?
あんまり マニュアル女でもないんだね。 印象と違ったな。』
猫を埋め終わり 線香代わりに 敦の煙草に火を点けて 2人は手を合わせてから
その手を繋いで 夜を共に過ごすため 歩いていった。
基本 一週間で連載を終わらせたいんだけど 今回 うっかり金曜から書き出しちゃったので
ちょっと 長めの予感です。