小説★乙女の恋 2 | みみぴちがってみみぴいい

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昨日の物語の続きです 小説★乙女の恋 1 はこちら





『明日は土曜だし 休みでしょ?』


レイラの店は しっかり者のレイラが経営してるらしい無駄のない店内だった。


華美な装飾や 置物は一切ない。 


漆黒のカウンターの上は 淡色のライトが映るほど 磨き抜かれており


それだけでも しっくりとした時間を演出させていた。





美紀が想像していたスナックとは かけ離れていて 興味深げにキョロキョロした。


『地味でしょ ここ。 うちは 人間が目立つように 室内は大人しいのよ。』


店内の入り口に活けられた 大ぶりの真っ赤な花だけが 極彩色を放っていた。


カラオケは置かない主義だから 美紀もお客やワタシたちと 極力話をしなさいね


とレイラにウィンクされ 美紀は小さく身震いした。


この生真面目さが 美紀の長所で そして短所だな と眼を細めたレイラにも 震えが伝わった。





最近 帰宅が遅いと 兄が心配してるので 携帯にメールを送る。


『高校時代の友人に再会したので 泊まるかもしれません。新宿にいます。』


家族に嘘をつくのは 短大の卒業旅行に誘われた と家族を安心させたくてついた


嘘以来だった。 あの2泊3日。 一人旅をした 悲しい想い出の2泊3日。






客は全員男性で 全員が 会社帰りのサラリーマンばかり。


カウンターの 一番端に立ち レイラの筋肉質な腕の動きを見ながら 会話を聞き


時折 話をふられるので 一生懸命に耳を澄ませ 言葉を選んだ。


レイラに人生相談をしてる人がほとんどで 美紀は感心しながら聞き込んでいた。


あっという間とはいえ 時計が1時を指した頃


美紀は脚が痺れて 動けなくなり 座り込んでしまった。






『あれ??なんだ いないぢゃん。』


聞き覚えのある声がした。 シルビアだった。



『います。』 美紀が立ち上がると シルビアは 大きな花束を抱えていた。


『水商売デビュー おめでとう美紀。 しかも オカマバーで あはははは』


今日のシルビアは 男性バージョンだわね とレイラがグラスとボトルを出してきた。


『仕事だったの? それとも どっかで遊んでた?』


レイラのがっつりした指が シルビアにグラスを差し出した。


『仕事。しかも 夜勤から日勤。30時間くらい寝てないから テンションない。』


仕事してるんだ、と不思議な想いで 男装のシルビアを眺めた。






歓迎会で訪れた シルビアのマンションは 築20年の一戸建てに住む美紀にしたら


驚くほど近代的で 生活観の見えない洒落すぎた部屋だった。


オートロックを解除してもらうと 吹き抜けに中庭がある明るいエントランス。 


結婚式場みたい と思った時 そこからさらに 暗証番号を入れるスペースに出た。


躊躇っていると シルビアが降りてきて ミニーと美紀を招きいれてくれた。


部屋の中は 劇団員たちが すっかり演出してくれていたので 普段の暮らしぶりは


分らなかったが 質素でないことだけは 世間知らずの美紀にも解った。


弁護士をしてる 兄が一人暮らしを考えていた頃 一緒に不動産めぐりをしたが


一度も案内されたことがない質の マンションだったからだ。







今日は飲まない と言いながら シルビアは美紀に渡した花束から メッセージカードを


取り出し 美紀に渡した。


『掃除のお礼よ』  カードの言葉がいつものシルビアの口調だったので 美紀は笑った。




『疲れてるみたいだから そろそろ上がっていいわよ 美紀。終電 まだあるの?』


美紀は 始発までの時間なら潰せると思って レイラに はい と返事をした。


心配性の兄に 泊まると連絡してしまった以上 帰ることはできない。


朝靄が立ち上る明け方の大都会を歩くのが 美紀の小さな夢だったので


疲れに嘆くこともなく 胸がトキめいた。 


長すぎる快楽の夜が明ける瞬間を この眼で見てみたいのだ。


ミッドナイトタウンの朝は どのように 夜を閉じ込めるのだろう。


閉じ込めきれない夜は 幕間から 何を見え隠れさせるのだろう。





『俺が送るよ。 今日は マンションに戻らないし。』


『あら 一時帰宅? そっか。 なら あんた家に来る? いいわよ。襲わないなら。』


レイラとシルビアは 美紀には解らない会話を交わすと 美紀を送ってから


レイラの家で合流する という話でまとまっていた。


『・・・あの 帰れないので。兄に 外泊するっていってしまったし・・・』


ああ と言うと レイラが気楽に誘ってきた。


『なら あんたも家にきなさいよ。 狭いけど。


 オンナが来るなんて 5年前に母親が来て以来だから ちょっとやだけどさ。』


レイラが 交際している彼氏の許可をもらったと電話を切ったので


3人は シルビアの車に乗り込んだ。






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短い話のつもりだったのに おわらね・・・・


しかも ブログネタ ぶっちぎってしまったわ。 ってことで 明日も続きます


ランキングのジャンルを 短編小説に変えてみました。 ってどうでもいいよね??笑