「ただいま~!」
「おかえり~!」
ドタドタ玄関まで走っていく有瑠の後ろでもじもじしている有里
「ほら、有里。」
そう声をかけると、有瑠を抱え上げてリビングに入ってきたユチョンにおずおずと近づく
「たっ・・ただいま、有里。」
ユチョン・・・娘相手に緊張しすぎだってば・・・
「アッパ、はい!」
後ろ手に持っていた袋を差し出されると、有瑠をそっと着地させた
「アッパに、くれるの?」
「うん。」
「・・・ありがと・・」
「遅くなってごめんね。それから・・・」
「ん?」
屈んで同じ目線になった父の頬に、有里はキスをした
「でへへへへへへ~」
「・・・・もうやめてよ気持ち悪い笑い・・」
「だってさだってさ、有里ちゅわんがさぁ・・・うっ・・マジよかった・・・」
「・・・・・」
さっき笑ったカラスがもう泣いた~・・・って、逆だろ
「ほらっ、鼻水拭いてよ。」
「う“ん・・・ずずずずーーーっ」
「食べないの?チョコ。」
「ん~、なんかもったいなくって。」
「あっそ。私からのチョコは何のためらいもなくお召し上がりになりましたのにね?」
「そっ、それはさぁ~・・・んもう、由宇ちゃんったらヤキモチやいちゃって!」
「さ~、ジュンギ先生のお別れ会に何を着て行くか考えよーっと!」
「え?・・ちょ、何それ?そんなん行くことないでしょ!」
立ち上がった私に慌てるカラス君
「行くわよ?有里たちがお世話になったんだし。」
「アンデっ!絶対ダメっ!」
「わっ!!」
勢いよく引っ張られた腕
思い切りバランスを崩して倒れ込んだのは、恐らく計算ずくなカラスの胸
「ねぇ、由宇はくれないの?」
「な・・何を?」
「バレンタインキッス。」
「・・・あげない。」
「あそ?くれないなら・・・」
「何?」
「奪っちゃお。」
ねぇユチョン
悔しいから言わないけど
このキスは
どんな名シーンにも負けないくらい
どんなチョコにも負けないくらい、甘かったよ
「Day moon ~short short story バレンタイン・キッス」 ~Fin~