※当ブログに使用している画像、写真の著作権、肖像権は全て出処元にあります
「ダメ・・・泣きそう・・・」
うつむいた彼女の声は、もう震えている
「うん。泣いたら?俺も、さっき泣いたし。」
「あたし・・・泣くと長いよ・・・」
「いいよ。どうせブーツびしょびしょだし・・・コーヒー飲みながら待ってるよ。
あ、ティッシュだってここに・・・ほら、無事、濡れてない。」
取り出したのは、今日彼女がくれたポケットティッシュ
「全部なくなるまで、泣いていいから。」
「そんなんじゃ・・・足りないよ・・・」
波の音に混じりだした嗚咽
砂の上に崩れ落ちたその人の隣に座り、背中をトントンと叩いた
真夏とは、明らかに違う匂いの風が、彼女の髪をそっと撫でていく
もしかして
彼女と今日出会わせたのは、おせっかいな礼の仕業なの?
それとも、彼もまた、おせっかいな優しい人だったのかな?
大切なものを失くした同士、これから何かが始まってもおかしくはないって?
新しい毎日は、残された者たちにも容赦なく訪れて、前に進めとけしかける
今年も、夏が終わる
秋が来て、冬が過ぎて、春を迎えて、また夏が巡る
濡れた服が、この涙が乾く頃、彼女の時間はきっとまた動き出す
それが、たとえ辛い現実だったとしても
生きていくしかない
悲しくても、苦しくても
時々、誰かの手を借りないと、進めない時もある
だけど、ここに生きてる俺たちは、
そうやって、歩いていくしかないから
いつか、涙の向こう側へ
すべてを超えて、涙の向こうへ
哀しみが、思い出になった時
その時見える景色は、どんな色をしているんだろう?
