「胸がきゅーってなるね」
涙が止まらないあたしに
上着の裾で涙をふきながら
やさしいあなたは言った

「また一週間がんばろう」
自分に言い聞かせてるね
いつでも強がるあなただけど
意外と顔に出るの 知ってるよ

こんなに好きになるなんて
ううん、最初からわかってた
どんどん虜になってくあたしは
恋人になった今も そのままだよ

帰りたくなくて
離れたくなくて
さみしさをめいっぱい溜めた瞳から
溢れた涙は煙草を消した
そろそろ 行かなくちゃ

声を聞くだけでこみ上げる
もうだめだ あたしのこの心は
やさしいやさしいあなたがいないと
落ち着いていられない

あなたのせいよ
なきむしは嫌い?

髪の一本一本を包み込むように
あなたの言葉のすべてが
あたしをふんわりともちあげる
そうして何度も甘ったるくなって
あたしはどうしようもない

その高い鼻をくっつけて
少し笑えば
何も考えられないよ
この心は
あなたにやられてしまったの

髪の毛おだんごにしたのは
あなたの言葉を忘れないから
聞いてないようなふりをして
あなたの全てを刻みつける
食べ物もシチュエーションも

脳が痺れるような声に
あたしはなんて返せばいい
細い目も短い爪も
おしゃべりなところも全部
あたしを掴んで離さない

恥ずかしくて嬉しい
久しぶりの正直なシャワーは
浴びたあともずっとあたたかい
左肩に顔をうずめれば
あなたの匂いに包まれる

久しぶりの恋の涙は
あなたの言葉を
一瞬でも思い出す度に流れた

あなたの言いづらそうな顔
無理して笑わせようとして

あたし わかるんだから

過ちだったのはわかってた
だけど 我慢できない程
お互いが求めてたんじゃないの?

あたしがかわいそうみたいに
「ごめんね」繰り返すあなたは
あたしの得意な笑顔を絶やした
一生懸命 笑おうとするのに
声が震えて 何も言えないから

溢れた一粒のそれを
指でふいてすぐに降りた
あなたの煙が うずまく車は
あたしのお気に入りだったのに

明日は
どんな顔して 会えばいい