#クワガタソウ(撮影6月12日)オオバコ科 pic.twitter.com/tRxkCTOukJ
— 橘 為右衛門 (@tameemon_g) June 18, 2024
花 調 べ
クワガタソウ(鍬形草)
栃木県日光市 2016年5月
クワガタソウ(鍬形草、学名:Veronica miqueliana )は、オオバコ科クワガタソウ属の多年草[3]。
従来の新エングラー体系、クロンキスト体系では、クワガタソウ属はゴマノハグサ科に含められた[1]。
特徴
短い地下茎がある。茎は、根ぎわで分枝して株を作り数本が直立または斜上し、茎の高さは10-20cmになり、曲がった毛が散生する。葉は対生し、下部のものは小さく上部のものは大きく、卵形から長卵形で長さ1-5cm、幅0.7-2.5cm、先端はややとがり基部はくさび形、縁には先の鈍い鋸歯があり、両面に毛が散生する。葉柄は長さ0.5-2cmになる[3][4][5]。
花期は5-6月。茎上部の葉腋から総状花序を出し、1-5個の花をまばらにつける。花柄は長さ1-5mmになり、曲がった毛が生える。萼は基部まで深く4裂し、萼裂片は狭倒披針形で先がとがり、縁に毛が散生する。花冠は皿形に広く開いて4裂し、径8-13mmになり、淡紅白色で紅紫色の条があり、花冠裂片の上側の1裂片は他のものより大きい。雄蕊は2個、雌蕊は1個ある。果実は蒴果となり、扁平な三角状扇形で、長さ4-6mm、幅10-12mm、先端は少しへこみ、基部はやや切形となる。種子は板状の楕円形で、長さ1.5mmになる[3][4][5]。
分布と成育環境
日本固有種[6]。本州の東北地方から関東地方・中部地方の太平洋側、紀伊半島に分布し、山地の樹林下や沢沿いなどのやや湿り気のある場所に生育する[3][4][5][7]。
名前の由来
和名クワガタソウは、「鍬形草」の意で、扁平な三角状扇形の果実と2個の萼片が、兜とその前にある角状の飾りである鍬形(クワガタ)に似るので、クワガタソウという。この名は江戸時代の書物、水谷豊文著の『物品識名』や飯沼慾斎著の『草木図説』に出ており、その時代から名前が知られていたことがわかる[7]。
飯沼慾斎著の『草木図説』には、「形扁圓ニ𬼀(シテ)中心刻凹アリテ両萼コレヲ挟ムノ状。頗ル(すこぶる)クワガタウチタル頭鎧ニ似タルヲ以テソノ名アリ」とある[8]。
種小名 miqueliana は、オランダ人の植物分類学者で日本の植物を研究したフリードリッヒ・アントン・ヴィルヘルム・ミクェル(1811-1871)への献名[4]で、中井猛之進が1918年に命名記載した[1]。
下位分類
- シロバナクワガタソウ Veronica miqueliana Nakai f. leucantha Nakai[9] - 白花品種。
- コクワガタ Veronica miqueliana Nakai f. takedana (Makino) T.Yamaz.[10] - 全体に小型で花序が長さ約1cmと短く花数も少ないもの[4][6]。本州の関東地方から近畿地方、四国、九州に分布する[6]。
葉の縁には先の鈍い鋸歯があり、両面に毛が散生する。
上の葉は大きく、茎に曲がった毛が散生する。
一見4弁花に見えるが、合弁花冠で基部は合着する。
若い果実。扁平な果実と2個の萼片が兜と鍬形(クワガタ)に似る。