■雨一番 春を告げる風にはよく知られた「春一番」があります。 春を告げるといっても、春一番の場合はかなり荒っぽいお知らせではありま すが。 2024年は、私の住む近畿地方では「春一番」の基準を満たす風は観測されな いようですが、関東や四国、九州などでは2月中旬には春一番が吹いたとの 知らせがありました。 この春を告げる風、春一番について調べて調べてみたら北海道には春一番が ないと云うことを知りました。ついでに、冬の初めの冷たい強風、木枯らし 一号もないそうです。 「春一番」や「木枯らし一号」は春の始め、冬の初めには季節の移り変わり を示すのにちょうど良い目安となっていて、世のお天気キャスターと呼ばれ る人達には、なくてはならないアイテムといってもよいかも知れません。 その二大アイテムがないとは北海道のお天気キャスターはかわいそうです。 ◇雨一番 かわいそうな北海道のお天気キャスターの方々ですが、逆に北海道にしかな い「一番」があるようです。それが「雨一番」。 雨一番とは、立春以後に雪を交えずに降る雨のことを指すそうです。 雨が降り出しても、途中で雪が混じって霙(みぞれ)となれば雨一番とはさ れないそうですので、なかなか認定は難しいようです。 なお、雨一番の後はもう雪が降らないというわけでもありませんので、この 点はご注意を。 『季節の 366日』 (倉嶋厚著) によれば、雨一番の平均日は 函館 3/2 , 札幌 3/15 , 釧路 3/18 , 旭川 3/21 , 網走 3/27 とのことですので、彼岸の中日にあたる今日辺りまでには北海道でも多くの 地域で雨一番を体験した後でしょうか。 前述の本の出版は2003年のことなので、記載されている平均日が多少変わっ ているかも知れないと思い、インターネットで最近の値がないか探してみま したが見つかりませんでした。 (最近のデータの在処をご存じの方は教えてください) 最近の資料は見つかりませんでしたが、倉嶋さんの本の数字を信用すれば、 北海道では多くの場所で雨一番が降った頃ですね。 暑さ寒さも彼岸まで という諺がありますが、この言葉と雨一番の時期を並べて考えると、北海道 においては、寒さの終わりを告げるのが雨一番ということになりますか。 北海道にお住いの読者の皆さん、冬の寒さの終わりを告げる「雨一番」、今 年はもう降りましたか? (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、 magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2024/03/18 号