花  調  べ

 

ヤマアジサイ

 

 

ヤマアジサイ(学名: Hydrangea serrata)は、アジサイ科アジサイ属の1種である。山中で沢によく見られることから、サワアジサイとも呼ばれる[1]

ただし、独立した種として認めず、アジサイ Hydrangea macrophylla(種としてのアジサイ、ガクアジサイ)の亜種 Hydrangea macrophylla subsp. serrata などとする説もある[2]

 

分布

本州では関東より西、また四国九州などの山地に分布する[3]千島列島台湾中国南部の山地にもみられる[4]

 

特徴

ガクアジサイと比べ、花の色が多様性に富む[1]。花序は直径7–18センチ、装飾花は直径1.7–3センチ[3]。葉質は薄く光沢がなく、小さく(6.5–13センチ[3])、長楕円形・楕円形・円形など形はさまざまである[1]。枝は細く、樹高1メートル程度である[3]

 

利用

葉にフィロズルチンの配糖体を含むものがあり、甘茶として利用される[3][5]。「甘茶(アマチャ)」は分類上特定の品種を指す名称ではない[6]

 

亜種等

ヤマアジサイは分布域が広く、いくつかの亜種がある。なお、ヤマアジサイを種として認めない場合、これらはアジサイ Hydrangea macrophylla の亜種となる。

アマギアマチャ
亜種 H. serrata subsp. angustata (Franch. & SavatierKitam.富士山天城山周辺[7]静岡市梅ヶ島、箱根[8]に自生する。花はすべて白く[7]、葉はヤマアジサイより細い[8]。生の葉は甘苦い[8]
エゾアジサイ
亜種 H. serrata subsp. yezoensis (Koidz.Kitam.。ただし分子系統によると、ヤマアジサイよりアジサイ Hydrangea macrophylla に近縁である[9]東北地方北陸地方北海道、および朝鮮南部に分布する[3][10]。高さ1–1.5メートルで[3]、北海道のものは本州のものより大きい[10]。花序は直径10–17センチ[3]、普通青色や青紫色だが白・ピンク・ほとんど赤色のものもある[5][10]。葉はヤマアジサイよりも大きく(10–17センチ)、ふちの鋸刃も鋭い[3]。花期は5月中旬から6月中旬である[11]
シチダンカ
栽培品種 H. serrata 'Prolifera’。萼が星型で重なっている[12]。葉は卵形で、エゾアジサイに近い[8]
シチダンカは江戸時代から知られ、シーボルトが『フローラ・ヤポニカ』で報告していたが、文献に伝わるのみで発見例はなく絶滅した「幻のアジサイ」とされていた。1959年六甲山でシチダンカと考えられる品種が発見され[12][13]、その品種は H. serrata ‘Prolifera’ とされ、現在では「七段花」の名称で栽培、商品化もなされている。ただし、その後1993年滋賀県で花型がシチダンカにより近い[14]新品種が発見され、その品種は「東雲(しののめ)」と称して栽培、商品化がなされている。
ベニガク
変種 H. serrata f. rosalba (Van HoutteOhwi南日本の山地にみられる[7]江戸時代から栽培されている品種である[15]。装飾花は白色だが日光に当たると赤みを帯びる[15]。葉は厚く楕円形で[8]、秋に紅葉する[7]

 

エゾアジサイ

 

シチダンカ