花  調  べ

 

松虫草(マツムシソウ)

 

 

しげしげと松虫草を覗き込み

松虫草(マツムシソウ)はマツムシソウ科マツムシソウ属(スカビオサ属)の多年草である。
スカビオサ属は地中海沿岸地方などを中心に70種くらいが分布する。
日本にも松虫草(マツムシソウ)などが分布するので、属名の和名をマツムシソウ属という。
本種は
日本固有種である。
北海道から九州にかけて分布し、山地の草原に生える。
和名の由来は松虫の鳴くころに咲くというところからきている。
草丈は50センチから90センチくらいである。
根際から生える葉は羽状に裂け、ロゼット状(茎から葉が重なり合って出て地に接し、円座形になったもの)となる。
茎につく葉は深く裂けて細長く、向かい合って生える(対生)。
葉の表面や縁には長い毛が疎らに生える。
葉の裏面には短い毛が密生し、葉脈の上には長い毛が疎らに生える。
開花時期は8月から10月である。
真っ直ぐ伸びた茎の先に青紫色の花(頭花)をつける。
花序の直径は3センチから5センチくらいである。
花序の中央にある花は筒状で小さく、周囲の花は唇形で大きい。
総苞片(花序全体を包む葉の変形したもの)は線状である。
雄しべは4本で、葯(雄しべの花粉を入れる袋)は青い色が濃い。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
花言葉は「感じやすい」である。
俳句の
季語は秋である。
属名の Scabiosa はラテン語の「scabiea(疥癬)」からきている。この属の植物に皮膚病に効くものがあることから名づけられた。
種小名の japonica は「日本の」という意味である。
写真は8月に軽井沢町植物園で撮った。
学名:Scabiosa japonica

★複雑な花の姿が珍しく
 松虫草をしげしげ眺め