■太陽周期の話(暦のこぼれ話 2021/9/5) | mi-gu-me73のブログ

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■太陽周期の話

  年毎に日付と曜日の関係が変わるのはなぜ?
  規則性はあるの?

 という質問を頂きました。
 では早速。

 1.年毎に日付と曜日の関係が変わるのはなぜ?
   それはね、1年の日数が7で割り切れないからさ!

 2.規則性はあるの?
   それはね、ヒミツ ・・・ なわけはない、規則性があります!!

◇曜日と日付の関係
 現在使われているグレゴリウス暦は月の日数が決まっています(例外として、
 閏年の 2月だけ日数が変化する)ので、毎年の 1/1の曜日が決まればあとの
 日付の曜日は自動的に決まります。
 ここで仮に、 1/1の曜日で

   日曜日はaパターン,月曜日はbパターン,・・・,土曜日はgパターン

 とすると、全ての平年はこのa~gの 7種類のどれかでしかありません。閏年
 の場合はといえば、3/1でaパターンからbパターンへというように一つパタ
 ーンがずれるのですが、まあそれだけの話です。

 さて、平年の1年の日数は 365日。これは52週間と1日です。
 この余りの「1日」がありますから、翌年の年初は今年の 1/1の曜日の次の
 曜日となります。今年(2021年)の1/1の曜日は金曜日なのでfパターンとなり
 ますから、来年はこれが1ずれてgパターンの年、つまり1/1が土曜日となる
 年となります(Web こよみのページの「万年カレンダー」で確認してきまし
 た)。

 閏年の場合は余りは1ではなくて2ですから、ずれの数も2になるだけで本質
 的に違いはありません。

 こんな風に年毎の日付と曜日の並びの関係は変化するわけですが、変化のパ
 ターンの基本はa~gの7パターンだけですから、当然何年かすると、まった
 く同じ日付と曜日の並びの都市が巡ってきます(そんなに珍しいことじゃな
 い)。1年の日数を7で割ったあまりの日数を、順に足し併せていって、その
 合計が7の倍数となれば、1/1の曜日が同じ年が巡ってきます。具体的な例を
 示すと

  2021(1),2022(1),2023(1),2024(2),2025(1),2026(1) ・・・ 余りは()内

 と言う具合で、2026年が終わったところであまりの日数が7日になりますの
 で次の年、2027年の1/1は今年の1/1と同じ曜日、金曜日となります。さらに
 2021年も2027年もどちらも「平年」ですので、この2つの年は完全に日付と
 曜日の並びが一致する年となります。

 ただし、ここに閏年と平年の関係を考えるともうちょっと複雑になります。
 やはり具体的な例として、閏年だった昨年、2020年を起点に考えると

  2020(2),2021(1),2022(1),2023(1),2024(2) ・・・ 余りは()内

 となって、1/1の曜日に関しては2020年は2025年と同じ(水曜日)になるの
 ですが、2020年は閏年で2025年は平年なので、3/1以降の曜日はずれてしま
 います(3/1の曜日はそれぞれ、日曜日と土曜日)。上記のリストを更に延
 長して2020年と完全に一致する年を探すと

  (前より続く),2025(1),2026(1),・・・,2047(1)

 とせっせと探してやっと2048年が見つかりました。
 28年後というのは、ちょっと先の話ですね。

◇太陽周期
 さて、上のようにせっせと探して見つけた、閏年であった2020年と完全一致
 する年でしたが、この間の28年という間隔ですが、この28年の間隔を開ける
 と閏年だけでなく平年もまた、日付と曜日の並びが完全一致します。

 この記事の最初に書いた質問の2の「規則性」に関して言えば、この28年と
 いう間隔がそれにあたると思います。実はこの28年という周期には名前があ
 ります。

  太陽周期(Solar cycle)

 それがその名前で。この28年という数字は、曜日のずれのa~gの7パターン
 と閏年の出現間隔4の最小公倍数なのでした。

 この28年の太陽周期だけ離れた年はカレンダーの日付と曜日の関係は完全に
 同じになります・・・と書きたいところですが、実はそうなっていません。
 残念。28年毎にカレンダーの曜日が完全に戻るのは現在使われているグレゴ
 リオ暦の一つ前に使われていたユリウス暦での話で、グレゴリオ暦100年毎
 に、その関係が崩れます。これは、グレゴリウス暦では1900年や2100年とい
 うユリウス暦では閏年になった年が平年になってしまうためです。

 では、グレゴリウス暦ではユリウス暦での太陽周期のような周期性はないの
 かといえば、そんなことはありません。400年経てば完全に元に戻ります。
 うーん、一人の人間の人生を通して確認するには、少々長すぎます(ま、計
 算すれば確かめられるので、400年間カレンダーをめくる必要は無いですけ
 れどね)。

 この400年周期、「大太陽周期」とでも呼びたいところですが、そんな言葉
 は聞いたことがありません。きっと無いんでしょうね。
 あ、誤解の無いように言っておけば、既に示したように

  2021年と2027年

 のような、28年周期や400年周期の間でも、1年毎に見て行けば日付と曜日の
 組み合わせが完全に一致する年はありますので、この点はお忘れ無く。

 ちなみに、ユリウス暦の太陽周期の開始年はBC 9年で、時としては、その年
 を「太陽周期の12番目の年」なんて言ったこともあるそうです。

◇おまけ・日曜文字の話
 キリスト教の教会暦では昔からある一年の何月何日が主の日である日曜日に
 あたるかを示すための方式が有りました。その方式は1/1~12/31までA,B,C,
 D,E,F,G,A,B,・・・と順にアルファベットを振った表を作り、主の日にあた
 る日曜日がそのA~Gまでのどれにあたるかを示すというものです。

 その年の日曜日を表す文字は日曜文字(Dominical Letter, ドミノ文字)と
 呼ばれました。
 なお、この日曜文字は平年は 1つ、閏年は 2つ有ります。これは閏日挿入の
 前後で日曜文字が変化するためです。

 日曜文字方式は今回私の説明した 1/1の曜日によってa~gパターンに分けた
 方式とは異なり、年最初の日曜日が年の始めから何番目の日に当たるかを示
 す方式ですが、1年の月日と曜日の関係は基本的(平年のパターン)には 7
 種類しかないという考え方は同じです。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2021/09/05 号