お礼企画第3弾『青の海に還る人魚を手に入れたい』(K・草薙)#1 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


お礼企画第3弾。


マドカ様からのリクエストです。


リクエストありがとうございました!!!m(_ _ )m




お相手はアニメ『K』の草薙出雲さんです。


見たことないって方もいるとは思いますが。


面白いですよ?


一気に見てどっぷりハマった娘を知っていますから( ´艸`)


機会があればぜひ。



リク的に甘さを余り欲してない感じがしたので
そこまでの甘さは追及してませんw




キャラ崩壊などお目汚しが多々あるかと思われます。

特に草薙さんの京都弁ね;


それでも宜しければどうぞ。






















<草薙出雲視点>






俺には可愛い幼馴染みがおる。


4つ下の御崎(みさき)マドカ。


学生の頃から、俺が尊や十束とつるみ始めてからも尊に物怖じせず、俺に懐いてくれとる。


バーを始めてからは学生服でそのままバーに立ち寄り始めたため、
流石にまずいと思て、外のカフェで会ったり、買い出しに付き合ってくれたり。

受験の時には俺の家にも来て勉強教えたりしてた。


吠舞羅の連中も何だかんだでマドカと馴染むようになり、
アンナに関してはかなりマドカに懐いてた。


マドカは時折「吠舞羅に入りたい」とかぬかすから「アホか」と流してた。

俺のおらん時に真剣に尊に申し出たらしいが、
尊もマドカと付き合いも古く妹的な感覚が強いんか、一蹴したらしい。


吠舞羅に入ることは尊に断られたが、
大学行きながら忙しい時はうちの店も手伝ってくれてたマドカも大学を卒業して就職した。
それからは店に顔を出すことはなくなった。


マドカは一般人やし、ここに寄りついてたらいつかは争いに巻き込まれるかもしれん。
寄り付かなくなったらまぁそれでいいかと思ってたが、どうやら仕事がかなり忙しいらしい。

そういや就職先聞いてなかったなぁと思い出してメールで聞いたら、
シンプルに「事務職」とだけ返って来た。
「身体気ぃつけや」とだけ返信しておいた。


あの人懐っこくふにゃりと笑う顔が見れなくなると正直、寂しい。

それは吠舞羅の連中も同じようで時折マドカの話をしている。
八田ちゃんまでマドカの話するんやからよっぽどやな。





そして季節が巡った今。


マドカの意外な事実を意外な人物から俺は聞くことになる。










店の買い出しに出てた時、気だるそうな細身の男が視界に入った。


「何や、伏見やん」


「…チッ」


舌打ちで不機嫌さを現すのは変わらんなぁと苦笑いしながら続けて声をかける。


「巡回か?」


「まぁ」


「ご苦労さんやなぁ。相変わらず細いな。ちゃんとメシ食べや。…ほな、またな」


「…アイツ」


軽く手を上げて踵を返そうとすると、伏見がぼそっと呟いた気がしてまた伏見に顔を向けた。


「?」


「…ミサキ」


「…八田ちゃんは今日ついてきてないで?」


二度目の舌打ちが聞こえた。


え、今『ミサキ』って言うたよな?

伏見が『ミサキ』言うたら八田ちゃんのことやろ?



「見りゃわかりますよ。…御崎、マドカ」


「…マドカがどないした?」


「うちにいますよ」



思考が止まる。



「………はぁ?!!」


「…やっぱり知らなかったんスね」


驚いて大きい声で聞き返した俺を横目で伏見がチラリと見る。


「…セプター4におんのか」


「戦闘要員ではない事務職専門の情報課ですけど。俺も最近知ったんで」


ブリッジを指であげる伏見を見ながら、俺は小さく息を吐いた。



「…さよか。…マドカは元気か?」


「…さぁ」


「伏見」


「…んスか」


「ありがとうな」


「…」


伏見は何も言わずにその場から離れていった。








大通りを逸れて、ビルとビルの隙間を縫うような細い道に入って、
壁に身体を預ける。


胸元から煙草を取り出し、ジッポの火をつける。

深く紫煙を吸い込み、ビルの隙間から見える青い空に向かって、紫煙を吐き出した。




「青、か…」


まさかマドカがセプター4におるとは夢にも思わんかった。




元気、やろか。


昇る紫煙が柔らかな風にくにゃりと歪む。


ふとマドカのはにかむように笑う表情を思い出す。



………会いたい気持ちが込み上げて来るのは抑えられへんかった。




「こりゃうちの常連使って呼び出すしかないなぁ…」


端末を手に取って、うちのバーの常連、セプター4の副長、淡島世理にメルした。

すると意外にも早く端末が震えた。




「ああ、世理ちゃん。忙しいとこ悪いな」


「今日は暇なの。用件は?」


「あー…御崎マドカ…ってそっちにおるやろ?」


「…確か、情報課の子だったかしら」


「ちょっとうちのバーに連れてきてくれへんやろか」


「どういう用件かしら?」


姿勢を正したようにいつもの凛とした声が更に強まったのが端末越しでもわかった。


「幼馴染みというか、妹みたいなもんやねん。最近顔出さへんから元気か思て」


「彼女が行くのを嫌がったら?」


「そん時はかまへんよ。無理やりは俺も嫌やし」


「わかったわ。また連絡する。その代わり1杯はおごりね」


「ちゃっかりしてるなー。うん、ええよ。ほな、連絡待ってるわ」


通信の途切れた手元の端末を見やる。



「セプター4、か」


情報課やったら直接戦闘にもいかへんし、公務員やし。
こっちも情報は把握しやすいとこや。

うちの王より無茶はせん、青の王やし。
他の王につかれるよりかはマシやな。


まだ会えるかどうかもわからんのに、気持ち軽くなった足取りに気付いた自分を嗤った。