あれから更に時間は進み、日も跨ごうとしていたころ。
屯所へと戻ってきた室長たちを屯所で待機していた全員が列を成し、迎える。
世理が声を上げる。
「敬礼、直れ。屯所での待機ご苦労だった。
学園島は無事に吠舞羅から開放され、生徒たちも無事だ。
私たちセプター4、吠舞羅のクランズマン共に重軽傷はあるものの、皆無事だ。
そして…」
「そして…第1王権者アドルフKヴァイスマン、第3王権者周防尊、第7王権者無色の王。
共に消滅」
世理の言葉を奪った室長が眼鏡のブリッジをあげ、全セプター4を見渡す。
「いつ次の王が現れるかはわかりません。ストレインたちの動きも次なる王探しへと活発になるでしょう。
皆さん、頼みましたよ」
「「はっ!」」
全員が敬礼を改めてしたところで、世理が口を開く。
「待機していた者は今回の事件の情報収集、解析を急げ。本隊にいた者で動ける者も加勢しろ。
怪我などした者は救護班の元へ。以上、解散!」
散り散りになる面々。
その中から気だるそうに歩く背中に世理は声をかける。
「伏見。まだ動けるはずだ。指示を出せ」
「チッ。…言われなくても」
「指示だけ出して休んでくるといい。どうせヤタガラスとずっとやりあってたんだろう?」
「…チッ。…了解」
世理なりの気遣いが見れたと伏見の背中を見つめていると今度は私に声がかかった。
「御崎」
「はい」
「宗像室長がお呼びだ」
「…でも」
「私からもお願いする。…室長の傍にいてあげて、マドカ」
「…世理」
語尾が優しくなり、ふわりと笑いかけてくれるその姿はオフの時の年相応の彼女だった。
私もつられて笑顔になる。
「世理もゆっくり休んで?また落ち着いたら飲みにいきましょ」
「いいわね。じゃあ頼んだわよ」
世理の背中を見送って、私は室長室へと足を運んだ。