新鮮な妄想も最近大好きな私です。
何の話だっつーね。
一くんのお話を投下します!短編!
こちらはこのお話短編【A reason is only hot?】(斎藤)の設定を生かしてかかせてもらいました。
なので、上記短編を先に読んでいただけると嬉しいです。
設定を生かしたってことで、またお名前をお借りしました。
Doremiちゃん、ありがとう!!
そしてちょい役でお名前お借りしました射花ちゃん、ありがとう!!!
前にね、Doremiちゃんがこの設定で祭とか浴衣もいいねって話…したよね?あれ?w
このお話は上記お話の二人(一くんと礼ちゃん)が
付き合う前の話(一くん高2、礼ちゃん高3)です。
そして、そして。
今回このお話を書くきっかけになったのが
back numberの『わたがし』です。
この曲聴いてたら一くんがもう止まらなくてw←
お話の間にいれさせていただきました。
本当にいい曲なの!!!
青春!!!!って感じなの。
一度聞いて欲しいなぁ~。
【追記】
動画サイトにショートバージョンだけどあったので、リンクしておきますね→ ★
わたがし/ユニバーサル シグマ

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それではキャラ崩壊あり。
温かく見守ってくださる方のみ、どうぞ。
「礼…」
「なぁに、一くん」
夏休み中の教室。
開けっ放しにされた窓からは校庭で部活する野球部やサッカー部の掛け声、
少し遠くからは吹奏楽部が練習する音が風にのってやってくる。
俺は礼と共に風紀委員として共に始業式に配るプリントを用意したり、
始業式から始まる風紀の取り締まりの担当表を作成していた。
プリントから視線を上げた礼は、首を少しかしげながら俺の言葉を待っている。
「その…」
「うん」
礼は机の隅に置いていたボトルを手に取り、水分を流し込む。
その様子を目で追いながら俺は昨日の総司とのやりとりを思い出していた。
剣道の練習後。
土方先生と今後の練習試合について話をしていた俺と総司は
他の部員達が帰った部室で着替えていた。
『一くん、祭行かないの?』
「お前とは行かん」
『僕だって一くんとなんて嫌だよ』
「行く予定はないが」
『礼ちゃんと行けばいいのに』
俺の顔を見ながら、口角をあげる総司。
礼の名前を出されると弱い俺。
「な…、なにゆえ」
我ながら分かりやすい動揺を毎回してしまうと思う。
だが、こればっかりはどうしようもない。
『見たいと思わないの?礼ちゃんの浴衣姿とか』
「…」
『はい、妄想しない』
「も、妄想などしていない!」
『ま、礼ちゃんも受験生だし、無理かもしんないけど誘うだけ誘ってみれば?』
「め…、迷惑ではないだろうか」
『それは礼ちゃんが決めることだし?ついでに言いたい気持ちもすっきり言っちゃえば?』
「な…」
動揺する俺に総司は肩を叩いて、俺の顔を覗き込む。
『僕が礼ちゃんかっさらってもいいんだよ?』
ニヤリと笑う顔。
「ふざけるな!」
『怖い怖い。じゃあ期待してるから』
背を向けて右手をヒラヒラさせながら部室を出て行った。
「…総司は何を期待しているのだ…」
そして、俺も。
「…くん?一くん?」
「はっ!」
目の前に礼が俺の顔を覗き込んでいた。
息が少しばかり止まった、と思う。
自分でもわかるくらい…、顔が熱い。
「どうかした?」
「いっ、いや」
「何か言いたいことあったんじゃないの?」
礼の言葉に俺は喉を鳴らして、礼を見つめた。
「その…、26日なんだが」
「うん、26日。日曜だね」
「祭に…行かないか?」
「…二人で?」
「そう…だ。無理にとは…」
「行く」
礼の言葉に眉を上げる。
「…いいのか?」
「うん!もう夏休み中勉強漬けでね。どっかで息抜きしたいなって思ってたの。
もうお祭も行けないかな~って思ってたから。
26日ってお祭の最終日だよね?」
「ああ」
「嬉しい!楽しみだな~。あ、一くんて浴衣持ってる?」
「持ってはいるが」
「ほんと??じゃあ浴衣着てきてね!私も着ていくから」
花が咲くように礼が笑う。
「あ、ああ…」
それにつられるように俺も笑みが浮かぶ。
机の下で小さくガッツポーズをしてしまったことは恥ずかしくて誰にも言えない。
待ち合わせ時間は午後18時。
待ち合わせ場所は○○駅前の時計台の前。
少し陽も和らいで、今日は昼間に短時間雨が降ったからか、少しばかり風も秋を感じさせるような冷たさを運んできた。
街灯もつき、街がオレンジ色に深く染まっていく。
既に屋台などが開いているおかげか、待ち合わせの人もそこまでは多くない。
『あまりキョロキョロとしても不恰好だろうな』と思いながらもぼんやりと人混みの中に礼を探していた。
「一くん!」
声をかけられた方を向けば、そこにはカラカラと音を立てながら近づいてくる礼の姿があった。
水色にはなびらの浴衣がこの世で一番
似合うのはたぶん君だと思う
よく誘えた 泣きそうだ
「こんばんは」
「こんばんは」
何故かこのやりとりがお互い風紀委員なんだなと思わせた。
「待たせちゃった?」
「いや、俺も先程来たばかりだ」
「良かった。…一くん、浴衣カッコいいね!びっくりした!似合う~」
「礼…、その…。礼も似合っている。…綺麗だ」
俺の浴衣が似合うとはしゃぐ礼を見る俺の心臓は、うるさい。
「そ…そうかな?ありがと」
「…」
少しばかり俯いた礼の髪飾りが揺れる。
不意に訪れた沈黙。
「行こっか」
「あ、ああ」
二人並んで歩き出す。
礼は嬉しそうにキラキラした表情で屋台を見ている。
そんな礼を見て、俺も胸に広がるじんわりとした温かいもの。
いつもと雰囲気が違うせいか、髪を上げているせいか、大人びて見える礼。
不意に『卒業』の文字が胸を過ぎって、苦い痛みが走る。
わたがしを買った礼は照れくさそうに俺に言う。
「小さい頃からね、お祭の度にわたがし買ってもらってたの。
恥ずかしいけどこの年になってもお祭に来たら買わずにはいられないの」
「そうか」
はにかむ礼が可愛いと思う。
「一くん」
「何だ?」
「楽しいね」
またその笑顔に心を奪われる。
夏祭りの最後の日
わたがしを口で溶かす君は
わたがしになりたい僕に言う
楽しいねって
僕はうなずくだけで
気の利いた言葉も出てきやしない
君の隣歩くことに慣れてない自分が
恥ずかしくて
「お!一くんじゃね?」
「あ、礼ちゃんもいる」
声のした方を向けば、そこには平助と射花の姿があった。
「射花ちゃん、久しぶりだね~」
礼は嬉しそうに射花に近づく。
何か言いたげにニヤニヤしながら寄って来る平助に視線をそらす。
逸らした先には平助と射花がしっかりと繋いでる手があった。
想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの
君がさっき口ずさんだ
歌にもたまに目が合う事も
深い意味なんてないのだろう
悲しいけど
君が笑ってくれる
ただそれだけの事で僕はついに
心の場所を見つけたよ
うるさくて痛くてもどかしくて
想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの
「あ…、そろそろ花火の時間だっけ」
「そうだな。もうそんな時間になったか」
時間と言うのは本当にあっという間だと感じた。
「礼、あの辺りが空いている。あの辺で花火を見るか?」
「うん!」
ベンチに腰掛けた俺達は空を見上げる。
もうすぐ花火が上がるね
君の横顔を今焼き付けるように
じっと見つめる
この胸の痛みはどうやって
君にうつしたらいいんだろう
横にいるだけじゃ駄目なんだ
もう君の気を引ける話題なんて
とっくに底をついて
残されてる言葉はもう
わかってるけど
想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの
夏祭りの最後の日
わたがしを口で溶かす君に
わたがしになりたい僕は言う
楽しいねって
花火が終わり、皆が一斉に帰りだす。
通路はごった返し、人と人が触れ、ぶつかってしまうこともある。
隣を見れば礼も歩き辛そうに少し眉根を寄せ、「仕方ないよね」そんなふうに俺に笑った。
自然と身体が動いた。
礼の手を取った。
礼の視線を感じたが、顔に熱が集まるのを感じた俺はまっすぐを見据えていた。
意識は手にしか集中していない。
「ありがと」
そう耳に届いて、きゅっと握られた手。
礼を見れば、少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに俺に笑いかけていた。
「礼」
「なぁに?」
「楽しいな」
「…うん!」
『この笑顔に弱い』
今日この事実を更に自覚した俺は繋がれたその手をまた握り返した。
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fin.