薄桜鬼・妄想短編学パロ【Are you ready?】後編 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

前編はこちら → 


主役は平ちゃんです。



キャラ崩壊あり。


それでも宜しければどうぞ。











しばらくして担任から呼び出されていたことを思い出した斎藤が沖田を連れ出し、
後輩達はそれに続いて教室を出て行った。


「…相変わらず騒がしいなぁ」

後輩達を見送って、貰った花束や色紙に目をやり、自然と緩む頬。



「泣かれるよりはいいだろ?」


「まぁね。ま、大半が総司と一狙いだってことはよくわかった」

藤堂の言葉を軽く受けて、皮肉めいた言葉で笑った。


「いいんじゃねぇの?…射花は俺がいてやるよ!」

前の席に跨り、二カッと射花に向けて笑う藤堂。



きつかった部活もこの笑顔と明るい言葉に何度やる気を貰っただろうと射花は思う。



「ありがと、平助」


「…礼、言われるようなことでもねぇけど」

藤堂は照れくさそうに視線を外した。



「…頑張ってね、部活に、じゅ・け・ん」


「…何か受験ってところに今トゲがあった気がする」

からかうように言葉を投げれば、軽く口を尖らせて、目を細める藤堂。


「気のせい、気のせい。平助なら大丈夫だって」

射花はカラカラと笑いながら藤堂の二の腕をポンポンと軽く叩いた。



「あー。でも射花も総司たちも薄桜学園だろ?ちゃんと勉強しねーと」

柔らかい自身の髪に手を置いて、藤堂はクシャリと掴み少し眉根を寄せた。



「余裕あったら勉強も教えてあげるから」


「ホントか?!!」


「…う、うん」

射花の言葉に身を乗り出して食いついてきた藤堂に驚く射花。


「すげぇ嬉しい!!一君たちも頭いいけど、射花も頭良いもんな!また休みの期間とか頼むな!」

太陽のようなその笑顔に射花は目を細め、応えるように笑みを浮かべて頷いた。





その後も他愛もない話をする射花と藤堂。


穏やかな時間が流れていく。



気付けばクラスには二人の姿しかなかった。




「皆、帰っちゃったねー。私も帰ろうかな。平助、今日部活あるんだっけ?」

色紙を鞄に入れながら、藤堂に問いかけた。



「あー…」


「…どうかした?」

藤堂を見つめる射花。

藤堂の顔は徐々に赤く染まっていく。



「…あー、のさ。射花は…その…誰かから…第二ボタン…とか、貰ったりしたのか?」


「ううん、誰からももらってないよ」

眉を上げた射花は小さく首を横に振った。



「…そか」

藤堂が一つ息を吐いた。



「あー、でも一年遅かったら平助のボタン欲しかったかも」

立ち上がりながら、それは射花の中から無意識に、極自然に出た言葉で。
からかうように笑みを零した。


「…。…いいよ」


「…へ?」

藤堂の言葉に動きが止まり、その表情を窺えば、絡まる視線。


窓から入ってきた柔らかな風がふわりと二人を包んだ。



「俺の第二ボタン、射花にやる」

頬を染めつつも、真剣な表情の藤堂に息を飲む射花。



「…え?いや!冗談だから!ほら、平助あと一年あるし!!」

慌てて首を振りながら訂正する。


ガタンと音を立てて藤堂が立ち上がる。



「ボタンの替えはどうにでもなるから」

自分の第二ボタンに手を伸ばす藤堂。


「え?ちょっと!!!」


『ブチ』と音が聞こえた。



「あ…」


「ほら」

目の前に差し出された第二ボタン。

藤堂の掌の上でコロンと転がった。



「…でもさ、本当に貰っちゃっていいの?…だって、第二ボタンだよ?」

差し出されたものの手に取るのを躊躇い、ボタンと藤堂の赤い顔を交互に見る射花。

更に顔を赤くさせる藤堂が口を開く。



「いいんだって!!…あー、その、俺が射花にあげたいっていうか…」


「…いいの?…意味、わかっ…」


「あー、のさ!…俺、ちゃんと薄桜学園も行くしさ、部活も手抜かずに頑張るから、さ」

言葉を遮るように射花の左手を取り、その手にボタンを握らせる。


藤堂のまっすぐな目と言葉が射花の胸を高鳴らせた。


包み込むように触れた手が熱い。

その熱がうつったかのように射花の頬も徐々に染まっていく。



「俺、今より身体も心もデカくなるからさ。…その…、1年、待っててくんねぇかな?」


試合の時の様な真剣な表情。


ただの「先輩と後輩」の関係が胸の高鳴りと共に崩れていく。


気付いた感情はみるみるうちに甘く胸に広がる。



『どうしよう…。私、平助のこと…、好き、だったんだ』


藤堂の言葉と自分の中の感情に戸惑いながらも、小さく頷いた射花。



「じゃ、じゃあ、俺行くわ!…またな!!射花も高校頑張れよ!また連絡する!!」


「…ありがと」

慌てて走り去っていく背中に呟いた。




教室で一人、佇む射花。


手の中にあるボタンを見つめて、指で摘む。



『…一年、待っててほしいってことなんだよね…?…何だか平助らしいや』


さっきの藤堂を思い出しては零れた笑み。


「待っててやりますか!」

胸ポケットに貰ったボタンを入れて、気合を入れるかのように大きく息を吸う。

鞄を持ち直し、教室を出た。








廊下の隅で、頭を抱えて座り込む男が一人。


「わぁー…。言っちまった…。俺、言っちゃったよー…」



そして、背後から迫る気配が二つ。



「何、言っちゃったの?」


「聞き捨てならない言葉だな」


「うっへ?!総司!一くん!!」

振り返りながら立ち上がる藤堂。


斎藤は立ち上がった藤堂の胸元を見やる。



「…平助、第二ボタンはどうした?」


「へ?…い、いっや!!これは!別に!!その!!!」

斎藤の言葉に第二ボタンがあった場所を隠すように握って、首を横にブンブンと振る。



「へぇ、そういうこと。…抜け駆け、したんだ?」

沖田が藤堂を見下ろしながら黒い笑みを浮かべた。


「は?いや!そういう…」


「じゃあ僕も行ってこようっと」


「俺も行く」


「えぇ?!だってもう二人ともボタン全部ねぇじゃん!!!」

歩き始めた二人の背中に言葉を投げる。



「「ちゃんとここに持ってる」」


二人は示し合わせたかのように、口角を上げ胸ポケットを指差したり、ポンポンと軽く叩いた。


藤堂は目を見張った。


「ちょ、ちょっと待ってって!!!………行っちまった」

(てか、射花がもう帰ってくとこ、さっき見たし…)



「あー…やっぱあの二人もそうなのかぁ…敵うわけねぇじゃん…」

くしゃくしゃと自身の頭を掻く。



「なぁんで、俺タメじゃねーんだろ。…って、すげー今更な話なんだけどさ…」


窓越しに見上げた澄み切った青空が眩しい。


一つ、小さく息を吐いた。



『それでも…ようやくスタートラインに立てた気がする』


「…。…さっきの射花、可愛かったな…」

思い出して思わず零れた笑み。


「…やべ。もう射花に会いたくなってきた。
学校で射花に会えねぇの辛ぇなぁ…。1年もか…。
いや!今からこんな弱気でどうすんだよ!!
何かあれば左之さんに相談しよ!
恋は逆境があったほうが燃え上がるって、しんぱっつぁんも言ってたじゃねぇか!!!
おおっし!!まずは部活行ってくるか!!!」


拳を作り、気合を入れた藤堂は部室へと駆け出した。






「Are you ready?」


貴方は恋の準備、出来てますか?








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はーい。


平ちゃんのお話でした~。


このまま後書きとさせていただきます~。




まずはお名前を貸してくださった射花さんに感謝ですm(_ _ )m



3月はね、卒業シーズンでもあり、別れの季節でもあると思うんですが。

こんな恋の始まりがあってもいいじゃないかとw


キャストは迷いましたが、

ここは純粋まっしぐらな平ちゃんにお願いしました。


この真っ直ぐさは他のキャラでは中々出せないでしょう、うん。


最近、平ちゃん書いてなかったですしね。

真っ直ぐさは書いてても気持ちいいですw

私が書いたことで爽やかさが出てたかは些か不安ではありますがwww





いかがでしたでしょうか?


また気軽に感想聞かせてくださいね(*^▽^*)







みふゆ