現パロ。
隊士?たちは美容師さん設定です。
キャラ崩壊あり。
それでも宜しければどうぞ。
『総司と平助は電車通勤で都合がいいから』と駅前まで出てきた。
駅方面に行くのは正直躊躇ったけど…、
どうせ駅の前を通らなきゃ家にも帰れないんだから、
いるかいないかわからない千景の影に、一人でビクビクしながら帰るよりはマシだと思った。
どうやら3人の行きつけらしいお洒落な居酒屋さんの個室に通される。
「素敵な雰囲気のお店ですね」
「だろ?飯も美味いんだ」
「お酒もね」
「俺はビールが一番!」
4人掛けのテーブルで上座に原田さんが座って。
『私はどこに座ろうかな』なんて考えていたら、
「美奏はここ」
と原田さんが隣の椅子をぽんぽんと叩く。
『もの凄く今更なんだけど、呼び捨てだし、何か恥ずかしいんですけど』
と思いながらも隣に座る。
「じゃあ僕はここ」
と総司さんが私の向かいに座って、
「ええ!総司、ずりぃ!!!」
って口を尖らせながら私の斜め向かいに座る。
そこからは乾杯した後、『合コンみたいだね』と笑いつつ、自己紹介をしたり。
美味しいお酒と食べ物にちょっと感動したり。
実は一階は理髪店で土方さん、斎藤さん、永倉さん、山崎さんという人が働いていて。
何故か沖田さんがずっと土方さんの愚痴を言うのを聞かされたりとか。
(因みにオーナーの近藤さんのことは尊敬してて大好きなんだとか)
総司さんが平助さんをいじって遊ぶ様子を原田さんと顔を見合わせて笑ったりとか。
時折、原田さんが思い出したかのように私を見つめながら頭を撫でて。
「…あの…、どうかしましたか?」
「ぃや、自分でも上手く切れたなぁと思ってよ。自分の仕事に浸ってるとこ」
その目はとても優しくて…、顔に熱が集まるのが分かって目を逸らしたけど…。
『その顔は反則でしょ』
と心の中で呟いた。
とても失恋当日とは思えない気持ちと楽しい雰囲気が。
今の私を救ってくれていた。
「そういえば皆さん、彼女とかいないんですか?金曜ですよ~」
酔いも回ってきた私は深い意味もなく聞いてみた。
「あ~、俺達は月曜休みだからな」
「あ、そっか」
原田さんの言葉にこくりと頷く。
「今は皆彼女はいないよ」
総司さんの言葉に『ほんとかなぁ?』なんて思いながらカクテルを一口飲む。
皆こんなにイケメンなのに。
「なぁ、美奏は彼氏いんの?」
「…っ」
平助さんの言葉に言葉を失ってしまった。
「っ!!!!いってぇえええええええーーーーーー!!!!」
次の瞬間、部屋に平助さんの声が響いた。
「ごめんね、気にしないで?」
総司さんは柔らかに笑っていたけれど。
「ちょ、ごめん!俺謝るから!だから二人して踏みつけるのやめろってええええーーーーー!!!」
『…踏まれてるんだ』
下を覗いたわけじゃないけど、想像するとクスリと笑えてしまった。
「止めてあげて下さい。ね?」
私の言葉に原田さんと総司さんは止めたみたいで、平助さんは安堵の表情を浮かべていた。
「美奏、ごめんな。変なこと聞いちゃったみたいで」
平助さんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「ううん、平助さん。気にしないで。
実は…今日、彼の浮気現場見ちゃって…。
浮気は結構前から疑ってたんですけど…、今日確信に変わっちゃって。
彼の為に伸ばしてた髪だったから、急に切りたくなっちゃって…、閉店前に押しかけちゃいました。
こちらこそすみませんでした」
私は3人に向けて頭を下げる。
「ぃや、それは謝ることじゃねぇし!」
否定してくれる平助さんに笑顔を向けた。
「…今日、切ってもらえて良かったです。ホント…すっきりしたし。
自分の中で踏ん切りがついたと言うか…。原田さんに背中をポンと押してもらった気分で」
原田さんを見ると私に優しい眼差しを向けてくれていた。
「それに食事にも誘っていただいて…。きっと部屋で一人でいても泣いちゃうだけだっただろうし。
本当、ありがとうございました」
姿勢を正して、3人に向けて軽く頭を下げた。
「…飲みすぎちゃったかな。こんな一人でベラベラと話しちゃってすみません」
少し素に戻れば『今日初めて会った人たちに何を言ってるんだろ』と思えてきて、浮かんだのは乾いた笑い。
「可愛いね、美奏ちゃん。僕の彼女にならない?そんな酷い男のことなんて忘れさせてあげるよ?」
にっこりと笑う総司さん。
「総司さんて皆にそう言ってそうですね」
「酷いなぁ、美奏ちゃん」
「実際皆に言ってるよな」
余所を見ながらぼそっと呟いた平助さん。
「…平助、僕に何か恨みでもあるわけ?」
「へ?聞こえた?嘘嘘嘘!!!嘘です、嘘!」
目を丸くして挙動不審になる平助さん。
「そんなに僕にこき使われたいんだ。明日の仕事が楽しみだなぁ」
平助さんに鋭い視線を向けながら、日本酒を飲む総司さんはうっすら笑ってた。
「土曜なんてそれでなくても忙しいのに、マジ勘弁してくれよ~」
顔色を悪くした平助さんは両手で頭を抱えた。
「でも皆さん、カッコいいのに彼女がいないなんて意外ですね。何で作らないんです?」
総司さんと平助さんのやり取りに笑いながら原田さんに問いかける。
「あ~、まぁ…。俺達の生活って普通の会社員とじゃ時間もちょっとずれるしなぁ…。夜も遅かったりするし」
少し苦笑いを浮かべて私との視線を逸らして、手元にあった日本酒を見つめていた。
「それに…もう本気になった女としか付き合いたくねぇんだ」
そう言った表情が妙に色っぽくて、ドキドキとしてしまったのは事実。
「へぇ…」
急に高鳴った胸を押さえるため、残っていたカクテルを飲み干した。
『原田さんを本気にさせれる女の人って…凄い綺麗なんだろうな』
ぼんやりとした頭でうっすらと考えた。