薄桜鬼・妄想現パロ【Step before the start of the love】#2 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

現パロ。


隊士?たちは美容師さん設定です。


キャラ崩壊あり。



それでも宜しければどうぞ。

















途中疲れもあって、うとうととしながらも、私はずっと目を閉じていた。




不意に「ふぅ」とひとつ息を吐くのが聞こえた。



「目、開けていいぜ」

私の耳元で原田さんが囁いた。



少し緊張する。



おそるおそる目を開けると…。




そこには違う私がいた。





一言でいうならボブ。


サイドは顎の辺りまでの長さ、後ろは寒くないようにか首元まで髪はかかっていて。

前髪は厚めに作られていた。



「…」


驚きすぎた私はしばらく言葉も出せずに鏡の中の自分に見入っていた。



『これが…私?』



「…もしかして気に入らなかったか?」

椅子に腰掛ける原田さんが私の髪を撫でて、鏡越しに私の表情を窺っていた。



「あ…、いえ…」

言葉を零した途端、ぽたぽたと涙が零れた。



「…」

私の様子を見た原田さんは言葉を失くした。




「お!終わったんじゃね?」


「みたいだね」

私たちの方へ駆け寄りながら平助さんがテンション高く声をかけてきた。



「お~!!可愛いじゃん!!」

そして鏡越しに私を覗き込む。


「マジで本当に可愛いって…。…泣いてんの?」

平助さんは眉根を寄せている。


少し遠くから沖田さんの小さな溜め息が聞こえた。


原田さんは…切なそうな表情を浮かべていた。



「あ、あの、違うんです!その!驚いちゃって。まさかこんなにも変われるなんて思ってなくて。
…嬉しくて。生まれ変わったみたいな気分になっちゃったら、何だか涙が出ちゃって…ははは」


「本当か?」

原田さんが眉根を寄せて私の顔を窺う。


「はい、本当です。本当に嬉しいんです…」

誤解されたくなくて、こくこくと頷く。


「…そうか、なら良かった」

私に確認してから大きな息を吐いた原田さん。


優しい笑みを浮かべながら、私の頭をぽんぽんと優しく撫でてくれた。



「マジびびったし!!いや、ほんとお世辞なしで可愛いから」


「うん、とっても似合ってるよ。美奏ちゃん」

平助さんと総司さんも声をかけてくれる。


「ありがとうございます!」

私は3人に笑顔でお礼を言えた。



「さ、じゃあ軽く頭洗って仕上げるから」


「あ、左之さん。俺練習終わったし、洗おうか?」


「んや、いい。今日は美奏を最後まで世話するって決めてるしな。じゃあ移動するか」

そういって私に笑顔を向けて両肩にポンと両手を置いた。



立ち上がった私は床に散らばった切られた髪の量を見てびっくりした。

「こんなに切ったんだ…」


「そうだね。さっぱりした?」

髪を集めながら総司さんが私の顔を覗く。


「…はい!」


「良かったね」

そういって優しい笑みを浮かべてくれた。



「あ、美奏!何飲みたい?ホットがいいよな?コーヒーか、紅茶か、ココアか、ウーロン茶か~、梅こぶ茶!」


「梅こぶ茶!」


「了解!何気にさ~、梅こぶ茶って人気なんだよな」

笑顔で応えた平助さんがバックへと消えていった。



軽く髪を洗って、席に戻ると出された梅こぶ茶を飲む。

じんわりと広がる温かさとちょっとしょっぱい味が嬉しかった。



「…嬉しそうに飲むな」

髪を整えてくれる原田さん。


「はい!…何だかとっても優しい味」


「俺が淹れたからな!」


「平助はお湯入れただけでしょ」


「ばっか!俺の愛情が入ってるんだよ!」

総司さんと平助さんのやりとりに、原田さんと鏡越しに笑いあった。




「これでよし。と」

原田さんは大きめの手鏡を持って後ろ髪がどんな感じかも伝えてくれる。


「一応、ここまで切った。で、このまま伸ばしてもおかしくはない切り方にしてるから」


「はい、ありがとうございます」


「また飽きてきたら色変えてもいいし、パーマを緩くかけても似合うと思うぜ?」


「はい」



「…。なぁ…、腹減らないか?」


「あ…、そういえば」

携帯の時間を見ると20時を過ぎていた。



「良かったらこの後俺達と飲みにいかねぇか?」


「え…?」


「勿論、無理にとは言わないが」


正直、驚いた。今までこんな風に美容師さんと飲みに行ったことなんてなかったし。


でも…。家に帰った自分を想像してみる。

めんどくさいからコンビニ弁当だろうし、部屋につけばまた千景のことを思い出してしまうだろう。



「あ…、でもいいんですかね?」

原田さんから総司さんや平助さんに目を移す。


「僕たちは構わないよ。むしろ男とばっかり飲んでて嫌になるくらいだから。
美奏ちゃんみたいな可愛い子がいてくれると僕は嬉しいな」


「俺も!」

二人とも笑顔で応えてくれた。



「じゃあお言葉に甘えて…」

私は辛い思いをする時間からまだ逃れたくって、そのお誘いに乗ることにした。



「決まりだな」

少し照れくさくなってしまった私をわかってか、また原田さんは頭をポンポンと撫でてくれた。



「美奏ちゃん、こっち来てくれるかな?メンバーズカードの記入と会計お願いしたいから」


「はい!」


「じゃあ会計済んだらそこのソファに座って待っててくれな?すぐ帰る準備するから」

笑顔で応えた私。


何だか中々ない展開だなと思いつつも、笑みが零れる。




ガラス越しに私が映る。



髪を撫でてみた。


『…変な感じ』


あれだけざわついていた心が今は穏やかだった。