薄桜鬼・妄想小説【君の名を呼ぶ】第10話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから → 








いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。
















冴の初めての夜の巡察。


共に巡察をしていたのは三番組だった。

夜の巡察には危険を伴うので分かれずに巡察を行う。


目は闇に慣れてきたものの、張りつめた緊張感が身体中を駆け巡る。

自分達の足音でさえ、胸をざわつかせる。



「昼間とは違いますね…」

「怖い?」

冴の呟いた声に問いかける沖田。

「…わかりません」

冴は静かに息を飲んだ。




不意に小道や脇道から大量の足音が聞こえた。


足を止めればあっという間に20人余りの男達に囲まれていた。




「あーあ、囲まれちゃったね」

沖田は溜め息まじりに言葉を吐く。


「忠司くん、躊躇ったら負けだよ?」

「…はい」

沖田の言葉に冴は鞘を握る手に力を込める。



「壬生浪士組だな?」

一人のがたいのいい男が睨みつけながら問う。

「だったら?」

目を細め、応える沖田。

「目障りだからここで死んでもらうぞ!かかれっ!!」

男の声に一斉に飛び掛り斬り付けてくる浪士たち。





刀と刀がぶつかりあう音。


飛び散る血飛沫。


倒れていく者の表情と叫び。



冴は目の前で起こる光景に足が動かなくなる。



『っ!!…動けない』


途端に冷や汗が全身に浮かぶ。


自身の手元を見れば明らかに震えているのが見て取れた。





「忠司くん!突っ立ってないでっ!」

「松原っ!動け!」

沖田と斎藤が浪士たちと戦いながら冴に怒号を飛ばす。





「僕達は君を守るためにいるんじゃない!」


「君は何のためにここにいる?!」


「どうしてあの日近藤さんの誘いを受けたの!!」


立て続けに沖田の怒号を浴びる冴。




『何のために…どうして…』


乾ききった喉に無理やり唾を飲み込む。





「もらったぁっ!」

冴に向けて浪士の一人が斬りかかる。


「…っ!!!」

目を見張る冴。



「「斬れっ!!」」

沖田と斎藤の声に瞬時に刀を抜いた。






肉を斬る感覚。


飛び散る血飛沫。



「…っ!」


倒れて行く相手を見ながら、奥歯を噛み締める。


足元にどさりと重い音がし、呻く声が聞こえる。



冴は湧き上がる思いを吐き出すように、空に向けて声にならない声を上げた。





「後ろっ!!」

振り向きざまに刀を振り下ろし、次々に目の前の敵を斬り、突き刺していく。




『またここに人斬りが生まれたか』

斎藤は冴が斬りかかって行く様子を横目で見ながら、心で呟いた。



「やるじゃない」

沖田は冴が斬りかかって行く様子を横目で見ながら、うっすらと笑みを浮かべた。







やがて静寂が訪れる。


辺りには血の匂いが立ち込めていた。



「皆、怪我はないか?」

「すみません、腕を少し…」

「とりあえず止血しろ。他の者は?」

斎藤が隊士達に確認をしていく。




「…」

「忠司くん?」

横たわる屍たちを見ながら立ち尽くす冴に声をかける沖田。



「あの…この方たちは…」

「ああ、処理してくれる監察方がいるから大丈夫だよ」

「そう…ですか」

沖田に視線を合わさずにぼんやりと屍を見つめる。



「さ、行くよ」

「…はい…」

重い足を引きずり、踵を返して沖田に続いた。






「もうすぐ屯所だよ」

「…はい」


屯所の門を潜ると冴はすぐさま気を失い、崩れかけたところを沖田が抱きかかえる。


「…うん、頑張ったね」


「皆、ご苦労だった。湯を取って休め。解散」

斎藤の声に皆各部屋へと戻る。



他の隊士たちが立ち去るのを待って、沖田は冴を横抱きにして抱える。

「一君、先に土方さんの所へ行ってて。このコ、部屋に連れてから行くから」

「わかった」

短く返事した斎藤は沖田と抱えられた冴の後姿を見送った。









「ん…」


ぼんやりと目を開け、天井を見る冴。



冴の横に座っていた沖田が声をかける。


「気がついた?」

「…はい」



「気を失ってた」

「…はい」



「もう皆、湯は取ったから。後は君だけ。外で待っててあげるから行っておいで?」

「…はい」


頭を掠めていくだけの言葉に冴は小さく返事することしか出来なかった。






隊服や自身の着物に大量についた返り血。


視線を反らしながら脱いでいく。



桶に湯を入れ、手を洗う。


少し時間の経った返り血が中々取れない。



『斬った人の血…』



冴は涙を浮かべながら手をゴシゴシと擦る。


手は擦りすぎて赤くなる。


血の取れたはずの手から目を反らし、また手に目をやると

びっしりと手に血がついている幻覚を見て、また手を擦る。





冴は風呂場で一人静かに嗚咽を上げた。














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10話までこれました~。


皆さんのお陰です!

ありがとうございます!



まだまだ続きますよwww


と、いいますか。


この『君の名を呼ぶ』。



実は2部制なんです。。w


1部もまだまだ続きますw



宜しくお付き合いくださいませm(_ _ )m



あ。明日からの総司さんは糖度が極端に上がりますので、気をつけてくださいwww






みふゆ