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「白雨の恋」最終話となりました。
沢山のコメント、ペタありがとうございましたm(_ _ )m
いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。
かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。
茜の輿入れの後。
たまに青山家の家の前の路を歩いてみる。
『いるはずねーのにな、俺は何を期待してんだか』
自嘲する平助。
あの夜の茜を思い出しては胸が締め付けられた。
平助は半年近く江戸に留まったが、二人は会うことはなかった。
その後、隊士募集の役目を終えた平助は京に戻る。
3年の時が経ち、夜更けに霜月の月を見上げて独り思う。
『茜…、色々考えて…色々あったけど…、
俺にはやっぱり新撰組しかなかったみたいだ。
生き延びて…羅刹ってやつになったけど。
生き延びて…もう一度お前に会いたいんだ…。
なぁ、茜…お前は幸せか?
…あの約束はまだ有効か?』
月に伸ばした手は空を掠める。
時代は瞬く間に動き、新撰組もその流れの中に翻弄されていく。
鳥羽・伏見の戦いで江戸へと退いてきた新撰組。
夕方近く、永倉と所用で町に出ていた。
「ああ~。何かまだ洋装がしっくりこねー」
身体を解すようにして歩く平助。
「まあ、習うより慣れろってこったな」
同じように肩を解す永倉。
「あ~、腹減ったな。蕎麦でも軽くいっとくか?」
「しんぱっつぁ~ん。飯前だぜ?ここは大人しく帰っておこうって」
溜め息混じりに永倉を促す。
「そう言わずに付き合えって~」
「ヤだね。あ…」
鼻の頭に雫がつく。
空を見上げると次々と雨粒が落ちてくる。
「うわー」
「この時期に珍しいな。夕立だな、こりゃ。諦めるか」
人々は小走りしたり、軒に身を寄せたり。
そんな中、新八と平助は人を避けながら駆け抜けていく。
前から傘を差した男女が歩いてくる。
男は傘を差していて顔は見えなかったが、
女は男を見上げて微笑んでいた。
繋がれた手。
女は茜だった。
男は夫である椎名であろう。
約3年振りに見た茜は相変わらず美しかったが、
あの頃より顔は痩せ細ったように感じた。
気づかずに平助の横を通りすぎる茜。
足を止めて二人の後ろ姿を濡れながら見る平助。
「おい、平助!置いていくぞ!」
背中越しに新八の呼ぶ声が聞こえた。
茜は立ち止まり、後ろを振り返る。
一瞬、目が会った。
平助は茜を見つめて口角をあげる。
茜は驚き、目を見開く。
平助はすぐさま踵を返し、走り出す。
「どうした、いい女でもいたか?」
走りながら横目でニヤニヤと笑う新八。
「すんげー美人だった」
「ホントか?勿体ないことしたな~。一目拝んどけば良かったぜ」
「しんぱっつぁんにはあんな美人似合ねーよ」
走りながらカラカラと笑う平助。
『茜、お前が幸せならそれでいい』
夕立は止み、雲の切れ間から茜色の空が見えた。
平助はそれを眩しそうに見つめ、口元には笑みが零れた。
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はい。「白雨の恋」最終話でした。
どんな些細な言葉でも構いません。
お言葉残していただければ幸いです。
ありがとうございましたm(_ _ )m
明日、あとがき書きまーす。
みふゆ