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このお話は最終話のエピローグ的お話となってます。
キャラ崩壊、設定無視など、かなりのお目汚しです。
それでも宜しい方はどうぞ。
道に迷ったのか立ち尽くす長身の男が二人。
「ここじゃねーか?」
「多分、この辺だろうな」
そこに子供が一人駆けてくる。
「おい、坊主…」
二人はその子供の顔を見て動きが止まる。
「なぁに、おじさんたち」
クリクリとした少しつり上がった目を丸くさせる。
「…こりゃ、間違いねーな」
「ああ、あいつの目そっくりだ」
「坊主、名前は?」
「やまざき あゆむ」
遠くから呼び声が聞こえる。
「歩務ー。歩務ー。どこ行ったのー?」
「かあさま!」
子供に駆け寄る女は男たちの姿を見て立ち尽くす。
「!!!」
「よう、久しぶりだな」
「原田さんに永倉さんっ!!?」
「かあさま、しりあい?」
かなめの着物の端を小さな手で掴み、母の顔を伺う。
「…とうさまの仲間だった人よ?」
優しく笑いかける。
「とうさまを…とうさまをしってるの?」
原田と永倉を見る小さな眼(まなこ)。
「ああ。知ってるぜ?」
永倉はニカっと笑いかける。
「どうしてここに…?」
「お前に会いに来たにきまってんだろ?」
原田は口角を上げる。
「よし、かなめ、近所に団子屋あるか?
…かなめ、子供の前で泣くな」
原田は溜め息まじりに眉間に皺を寄せて、口には笑みを浮かべてかなめを見る。
「すみません、嬉しくて…」
涙を拭って原田に笑いかける。
「さ、行こうぜ」
庭先で買ってきた団子を皆で頬張る。
いち早く食べ終わった歩務は部屋に戻り、小さな竹刀を片手に飛び出してきた。
「ながくらさん、つよいですか?」
「ああ、つえーぜ?」
にやりと笑う永倉。
「けいこ、つけてください!」
歩務はペコリと頭を下げた。
「おーっし!元新撰組二番組組長が見てやるよ!」
その様子を見守る原田とかなめ。
「…元気だったか?」
「はい、おかげ様で。原田さんも永倉さんもお元気そうで何よりです」
「ああ。」
心地良い風が通り抜けて行く。
「…辛い戦いでしたね」
「俺らの状況は知ってたのか?」
「はい、土方さんがたまに文を下さっていて…。蝦夷に行ったあとも1度…。たまに平助くんのことも書いてましたよ?」
「そっか」
「きっと…私を気遣って下さってたんでしょうね」
「根は優しい人だったからな」
「はい…」
原田とかなめは互いに空を見上げて、口元に笑みを浮かべた。
「ああ、こっちに来る前に斎藤と千鶴にも会ってきた」
「お元気でしたか?」
「ああ、相変わらずだった」
原田はにやりと笑った。
「斎藤さんと仲良くやってるんですね?千鶴ちゃんはたまに文をくれるんです。
いつか会えたらいいなぁ…」
口元に笑みを浮かべる。
「あと、近藤さんと総司の墓参りも行ってきた」
「…そうですか」
「かなめ、総司からは何かなかったのか」
「…江戸に着かれた後に1通と亡くなる前に1通…」
「そっか。お前に惚れてたもんなぁ…」
かなめは目を伏せる。
沖田から貰った文を思い出す。
それは本当に恋文のように
かなめと出会ったころからが綴られていた。
だが最後には山崎の死に触れて
「これで君の心は永遠に彼のものになってしまった」
と書かれていた。
空(くう)を見つめるかなめ。
前髪を風が触っていく。
「…原田さんたちはどうして大坂へ?」
「まぁ、俺はお前の顔が見たかったのもあるし、新八は京都に忘れもんがあるんだとよ。」
「…にしても、歩務は山崎そっくりだな」
歩務に目を移す原田。
「あの目のせいですかね。成長する度にあの人に似ていきます」
「山崎は今でも木の陰から見てんじゃねーか?」
「そうですね、きっと」
かなめはくすくすと笑う。
「かなめちゃん。コイツ筋がいいわ。やっぱ受け継いでるんだな」
縁側に戻った永倉が楽しそうに話す。
「ながくらさん、はらださん。きいてもいいですか?」
「何だ?」
「とうさまはどんなひとでしたか?」
「歩務。忍者ってわかるか?」
原田が歩務に問いかける。
「わかります」
コクリと頷く歩務。
「お前のとーちゃんはその忍者もやってたし、怪我をした人の看病もしていた。
お前のとーちゃんは強くて賢かったぞ。
で、お前のかーちゃんを誰よりも守ってた。」
原田は目を細めて歩務に語りかける。
「とうさま、すごい?」
「ああ、凄かった」
歩務の頭をポンポンと撫でる。
「おれもとうさまみたいになれる?」
「ああ、頑張ればな。歩務、まずは強くなってかーちゃんを守ってやれよ?」
永倉が歩務の肩に手を置く。
「はい!」
笑顔で応える歩務。
「わざわざ会いにきてくださって、ありがとうございました」
かなめが頭を下げる。
「ああ、また来てやるよ。元気でな」
「またけいこ、つけてください」
「おう、それまでに強くなってろよ?」
永倉が歩務の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「お二人とも気をつけて」
背を向ける二人の姿が見えなくなるまでかなめと歩務は見送っていた。
「かあさま?」
「なぁに?」
「きょう、ながくらさんにけいこつけてもらったとき、
とうさま、きのかげで こっちみて わらってた」
「…そう。父様も嬉しかったんやね。良かったね」
かなめは歩務の笑顔に応えた。
ふんわりと花の香りを纏った風が通り抜けていく。
澄み切った空にかなめは笑いかけた。
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はい。最終話のそのあとのお話でした。
歩務くん、4才手前の3才設定にしてます。
父、烝。息子、歩務。
考えた時は自分で笑ってしまったんですが、
バランス的に歩に務をつけたら「ああ、ザッキの息子になった」と思いました。
結構気に入ってますw
「空が鳴っている」。
目指すラストはわかっていたものの、
自分でも結構堪えたので、このお話で慰めるというか、
きちんと未来を歩んでるかなめちゃんの姿を描きたかったんです。
ありがとうございましたm(_ _ )m
総司さんからのお手紙。
総司さん、かっこいい。。。( 〃▽〃)
明日はキャラ出演のあとがきです。ふざけすぎてますww
宜しければ緩い感じでお付き合い下さいw
みふゆ