モーニング娘。’21コンサートTeenage Solution〜佐藤優樹 卒業スペシャル〜が幕を閉じ、もう既に一週間が経とうとしています。私はいまだ興奮と感動のただなかにあって、いまこうやってブログの更新をするにあたり、キーボードを叩く指の震えを感じつつ、どうすることもできない筈の不可逆的変化を肯定したくないがため、せめてその余韻に浸ることを自己に許可するのです。

時を戻しましょう。本年12月13日月曜日、そう、その日は佐藤優樹さんの卒業コンサート開催日となります。私は前夜、雷のごとき啓示を受け、ライブ映像の生配信視聴のためひかりTVに加入します。開演は午後6時です。しがないサラリーマンである私にとって、その時間に間に合わせることは至難の業と言っていいでしょう。実現するためには、すべての仕事を放り出すぐらいの覚悟が必要となります。はたして、私にそのような度胸はあるのでしょうか。甚だなる疑問を抱えながら、定時である午後5時半を迎えます。

定時なのだから、その時刻に帰宅してもなんの問題もありません。なんだったら、その日年休を取っちゃっても構わないはずなのですが、そこは長年培われた小市民的なサラリーマン根性が断固として邪魔をするんです。「お前、それでいいのか」と。「今、やるべきことは何だ」と執拗に迫ります。片や佐藤オタの私は食い下がります。今日は佐藤優樹さんの卒業式ですよ。分かりますか?この6年半、ずっと彼女を応援してきたんですよ。最後の卒業式は絶対的にこの目で見届けないといけないんです。「そんなのいずれユーチューブに上がるよ。ブルーレイだって出るだろうし、どうせ買うんだろ」それじゃ、ダメなんです。今、その時、その瞬間を共有しなければなんの意味もないんです!私はそう叫び、そして机上の書類をその場で投げ出して、一目散に帰宅の途に就きます。

しかして午後6時、開演のまさしくちょうどその時間に、私は自室のパソコン前に座ります。すでに前座のパフォーマンスは終わっており、映像では静かに開演を待ち侘びる観客席を映し出しています。ところでこの映像、ひかりTVの生配信となるのですが、サトウマサキこと佐藤優樹ちゃんを応援するでしょによる事前調査によれば、画質がいまいちで通信状況があまりよろしくないということでした。それはいったいなんのデマだったのでしょう。ぶっちゃけ余りの画質の美しさにブルーレイよりも微細で滑らかなんじゃなかろうかとまず最初そのことに驚きます。

そして、たった今、日本武道館において私と同じようにモーニング娘。’21の、佐藤優樹さんの登場を今や遅しと待ち望む観客を目の当たりにします。こうした状況によって、私は何百キロも離れた物理的距離を一瞬にして飛び越え、完全なる時間と空間の共有に成功するのです。あたかも今、私は会場内の特別席に座っているかのようです。その特別席では、自在に視線を変え、あるときはメンバーそれぞれの表情をとらえ、全体像をとらえ、はたまた俯瞰で観客席をとらえるのです。

やがて音楽が鳴り響きます。このとき私は新たなる事実を覚知します。ふだんのユーチューブ動画とはまったく異なる音質がそこには存在することを。私のパソコンの両脇を固める大型スピーカーは伊達じゃありませんでした。おそらくネット上の通常動画の音源では、情報量が限られているのでしょう。しかしながらひかりTVのそれはまったく情報量で大きく凌駕し、今まで聞いたことも無いハイレンジの高音から地鳴りのごとき重低音まで余すことなく正確に表現します。

こうしたなか、会場中央に配置された舞台の、ひとりひとりのメンバーに天井からスポットライトが照らされます・・・。まあ、ライブレポの方は、たくさんの方々が様々な角度で語っているところでございますので、ここでは割愛させていただきますが、私個人の感想としては、ただただモーニング娘。のファンで良かったということにつきます。

2014年の大晦日、紅白も終わり、そのまま寝てしまうのはもったいない気がして、何気なく点けたパソコンのユーチューブ検索欄に「道重さゆみ」と打って動画視聴を始めたことに、そして私を虜にしたその道重さんに、また彼女の所属していたモーニング娘。の音楽に、佐藤優樹さんという存在に出会えたことに、とてつもない幸運を感じ、今、その佐藤さんが卒業するにあたり、彼女たちが本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれ、またそのための周到なセットリストやメドレーのための緻密に計算されたアレンジを作り上げたスタッフ陣のみなさんに深く感謝します。そしてなによりも佐藤さん本人の愛あふれるスピーチと彼女のラストソング「笑顔の君は太陽さ」での誠実で真心のこもった歌唱を聞けたことに、心の底からモーニング娘。のファンで良かったと思うのです。佐藤さんがモーニング娘。から卒業し、つまりその後のモーニング娘。に佐藤さんはいなくなってしまうわけで、そのことに対し悲しいと思う向きは当然にあるのですが、そうした感情を超越し、今はただ感動と感謝の気持ちでいっぱいなのです。

佐藤優樹さんご卒業おめでとうございます。