今、ユーチューブに「モーニング娘。’20ライブ映像観賞会!!」と題する動画が流れています。加賀楓さんが15期の3人と昨年のロッキンジャパンの映像を見ながらあれこれ喋るといった内容です。動画は遥か彼方まで人並みが続く、およそ6万もの大観衆が両手を挙げクラップしながらモーニング娘。の登場を待つところから始まります。

加賀さんの説明で、15期は観客として参加する予定だったものの交通事故の渋滞に巻き込まれ、このオープニングに間に合わなかっことを思い出します。映像では、音楽とともにメンバーが登場してきます。おそらくメンバー自身もこの時初めてこれだけの人が集まっていることを知ったのでしょう。加賀さんは当時の情景を思い出すように「もうこれみんなニヤニヤしてるわけですよ」と話します。私は彼女の言葉を聞いて、そうかと思います。彼女達は大観衆を前に興奮するよりもむしろ嬉しくてしかたがなかったのかと。


ここで私の記憶は一気に昨年8月9日午後9時に遡ります。つまりこのステージの開催前夜ですね。どうにかこうにか仕事を終わらせ、一旦帰宅してシャワーを浴び、食事を摂って身支度をし、車に荷物を詰め込めるだけ詰め、道中に聞く音楽やポッドキャストをチェックし、準備万端で出発するのです。とぎれとぎれ断片的記憶が立ち上がってきます。深夜に立ち寄ったサービスエリアは既に全ての店が閉まっていて、駐車場には何台もの大型トラックがエンジンを掛けながら駐車しています。きっと中では熱帯夜に耐えきれずクーラーを掛けながら仮眠を取っているのでしょう。私もそれに倣って隣に車を止めてアラームを2時間後にセットして仮眠を取ります。この瞬間のまあ気持ちのいいこと。そしてきっちり2時間後に起きて、目覚ましのためにサービスエリアのトイレで顔を洗い、歯を磨き、せっかくだからタオルを濡らして体を拭きます。

翌10日午前5時頃、JR勝田駅駐車場に到着します。なぜこの場所を選んだのかというと、会場近くの駐車場は止めることはできないだろうということと、シャトルバスが出る駅で一番中途半端できっと駐車場も空いているのではなかろうかという勝手な推論によるものであり、果たしてそれが妥当だったのかどうか分からないのですが、いずれにせよ難なく車を止めることができたということは紛れもない事実です。もっとも私が到着したときは、それこそ人っ子ひとりいない状態で、もちろん駐車場に車なんて一台もいません。勝田駅なんて深閑としており、本当にここからシャトルバスが出るのかとても心配になってきます。それでもよくよく見るとそれらしき団体がバスに乗り込もうとしており、ああこれかと安心するも実はそれはスタッフ用の専用バスであり、私たちのシャトルバスではないことが分かります。一緒に連れて行ってほしいという私の思いが通じるはずもなく、スタッフらはさっさと乗り込んで、バスは行ってしまいます。それを茫然と見送った後、シャトルバスはいったいどこから出発するのだろうかと駅構内を回ったり、やはりさっきのバスが出たところかと来た道を戻ったりしているうちに、薄暗い空に陽が昇ってきて辺りはだんだんと明るくなっていくのです。


早く日常が戻ってほしいものです。