昨年10月21日、埼玉県熊谷市「彩の国くまがやドーム」において「ハロプロオールスターズシングル発売記念イベント~チーム対抗歌合戦~」が開催されました。それは、ハロプロメンバー総勢55名が、現リーダー率いるチーム和田彩花と次期リーダー率いるチーム譜久村聖に分かれ、それぞれ9つのユニットを作ってハロプロの楽曲を1曲ずつ披露し、観客のスマホ投票によって勝敗が決められるというものでした。

 

当時、私はせいぜい掲示板やメンバーブログ、ファンブログでもって「佐藤優樹さんとつばきファクトリーの小野田紗栞さんのふたりが『Crazy心(クレージーハート)』というユニットを結成し、スマイレージの『私、ちょいとカワイイ裏番長』で最優秀ユニット賞を受賞した。佐藤さんの煽りが素晴らしく、また彼女得意のアドリブに対して小野田さんが見事に対応し、決して人気投票ではない真の実力で受賞した」との認識に至ってはいたもののそのステージがいったいどんなだったかは分からずにいました。

 

そして今年3月27日、「ハロプロオールスターズシングル発売記念イベント~チーム対抗歌合戦~」ブルーレイが発売され、ユーチューブ動画にも数々の映像がアップされることとなり、彼女達のパフォーマンスの全貌が明らかとなります。今回のイベントはメンバーのセルフプロデュースによるものであり、佐藤さんのブログによると譜久村さんが佐藤さんと小野田さんのふたりを指名し、「私、ちょいとカワイイ裏番長」の煽りバージョンを選曲したとのことです。

 

さて、その煽りバージョンとは、スマイレージのライブにおける観客とのコール&レスポンスを主体とする楽曲であり、イントロ部分は約1分半のドラム音が続き、その間メンバーが観客を煽って「チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ」とレスポンスさせるものです。もちろんバック音楽は録音されたものなので、メンバーは観客を煽りながらもおよそ10秒ごとに流れるコーラスに導くため、ドラム音だけを頼りにカウントを取らなければなりません。煽りが長くなっても短くなってもいけないのです。それに少しでもズレが生じるとしらけたものとなり、観客のボルテージも冷めてしまうのです。

 

譜久村さんがこの楽曲を選んだ理由はただひとつと言えます。それはモーニング娘。のライブにおいて佐藤さんの煽りは最早定番となっており、そうであるならば煽り曲として最も盛り上がる曲は、スマイレージの「私、ちょいとカワイイ裏番長」の煽りバージョンであると判断したのでしょう。佐藤さんの相手になぜ小野田さんが指名されたのかは分かりませんが、しかしそれは後になって最高の相手だったことが分かります。

 

それでは、彼女達のその煽りを書き起こして参りたいと思いますが、彼女達はメインステージからセンターステージ、そして舞台袖まで縦横無尽に走り回り、まさしくくまがやドームを支配します。

 

佐藤「みなさんこんばんは!」

佐藤、小野田「クレージーハートで~す」

佐藤「今からみんなの声を聞きたいと思いますので、いっぱい出してください。サボんなよ~!まずは、こっちから半分のみんな、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワと4回叫んでください!」

小野田「大きい声で、ワ~ンツ~ワンツースリーフォー」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「まだまだ出せるでしょ」

小野田「それじゃ反対行きましょ。負けじと大きい声で、行きますワンツースリーフォー!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「そっちいいねえ~。じゃ次は男の子!カッコよくて、強く、俺ってカッコいいだろうって女に見せつけてやれ!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「次は女の子。可愛くて、可愛くて、叫んじゃっていいので、出してください!ワンツウスリフォー!」

観客「チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!」

佐藤「次は男が4回、女は4回、全員で8回行きます。ワ~ンツー、男から!」

観客「チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!」

佐藤「女!」

観客「チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!」

佐藤「全員!」

観客「チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!」

佐藤「オーケーラストナンバー、チーム対抗戦とか訳分かんないけど、私達クレージーハートはギアを上げるので、熊谷ドームかかって来いや!」

 

佐藤さんの叫びでメインイントロが始まり、観客の興奮は最高潮に達します。小野田さんのカウントもピタリと合い、全てが寸分違わぬリズムを刻み、ふたりのパフォーマンスに観客は酔いしれるのです。こうしてCrazy心は最優秀ユニット賞に選ばれるわけですが、この後私達は佐藤さんの真骨頂を目の当たりすることになります。彼女の煽りが素晴らしいことは、それはモーニング娘。のライブでお墨付きであり、チョイカワの煽りをリハーサル通りできたのであれば、その結果は火を見るより明らかでしょう。しかしながら全18ユニットの頂点を極めることはたやすいことではなく、歌唱やダンススキルに優れるメンバーはたくさんいるのです。だから最優秀ユニット賞が発表されたとき、たぶん多くの観客や参加メンバーさえもが彼女達の受賞を予想していたかのかもしれませんが、当の本人らはきっと驚いたにちがいありません。その模様について書き起こしておきましょう。

 

司会1「さあ、それではみなさん、心の準備はよろしいでしょうか。まずは、最優秀ユニット賞を発表します。最優秀ユニット賞は!」

司会2「佐藤・小野田クレージーハート!」

司会1「おめでとう~!なんで、倒れんの?」

司会2「来ました、私ちょいとカワイイ裏番長を歌ってくれたこのふたりに最優秀賞プレゼントおめでとう!」

司会1「イエ~!ちょっと気持ちを聞いてみましょうか?さあじゃあセンターの方に来ていただいて」

司会2「よろしいですか?」

司会1「はい」

司会2「ちょっと感想を聞いてもいい?」

司会1「はいはい、聞いてください」

司会2「まずはじゃあ小野田さん、いかがですか?」

小野田「これはきっと佐藤優樹さんのおかげだなって思います」

佐藤「違うわ!違う!」

小野田「でも、正直に嬉しいです。ありがとうございます」

司会1「ありがとうございました」

司会2「おめでとう」

司会1「まーちゃんは?」

佐藤「え~!はい。みなさんどうもありがとうございましたっていう感じですね。ヤバイね、どうやって本番・・・今ね、本当に脳みそ回ってないんですよ。ちょっと喋りかけないでもらっていいですか?」

司会2「いや、そういうコーナーです。今、そういう気持ちを聞きたいんです」

司会1「そういう気持ちを聞きたいんですと、さあ、ということで、最優秀ユニット賞に輝いたおふたりにもう一度、歌を披露していただきたいと思います」

司会2「なるほど~。でしたらメンバーのみなさん、一歩二歩下がれますか?少しだけ」

司会1「それではちょっとスタンバイをして頂いて、大丈夫ですか?おふたり・・・」

 

佐藤さんは最優秀ユニット賞を受賞した場合、アンコールを求められることは知っていたようで、だから彼女は司会の質問に突然背を向け、小野田さんに身振り手振りで指示をします。その間およそ30秒。小野田さんの表情に緊張感が走ります。普通ならば、これまでリハーサルしてきたことを繰り返せばいい筈です。しかし、それでは観客は喜ばないことを佐藤さんは知っているのです。とりわけ煽り部分に関しては、まったく同じ事を繰り返すことは、彼女とすればあってはならないことなのでしょう。だから30秒の打ち合わせの中でまずそのことを小野田さんに伝えなければなりません。全部私がやるからついてこいと。更に彼女は、舞台袖に分かれる動きを両者反対にすることを提案します。そうすれば必ず観客が喜ぶと信じているからです。

 

そして佐藤さんはひょっとしたら全てアドリブの煽りで、10秒刻みのコーラスにピタリとカウントを当てて観客のレスポンスを導き、また小野田さんも佐藤さんの動きを横目で追いながら必死に合わせ、突然の声掛けにも難なく答え、観客の興奮の度合いを引き上げていくのです。

 

佐藤「みなさんこんばんは!」

佐藤、小野田「クレージーハートで~す」

佐藤「今からみなさんの声をいっぱい、いっぱい、いっぱい聞いていきたいと思いますので、ちゃんと出してね。まずは、こっちから半分のみんな行くよ~!じゃあちゃんと奥の方まで、行くよ。ワ~ン、ワ~ンツ~ワンツースリーフォー!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「マジでそんなんでいいの?もう一回行くからマジで出してね。奥の方まで!ワ~ンツ~ワンツースリーフォー!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「オーケーこのまま。そしたら次はこっち~!こっちに負けんなよ。こっちより負けんなよ~!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「小野田どう?今のどう?」

小野田「まだまだです、足りないですね」

佐藤「だよね」

小野田「もうちょっと行きたいですね」

佐藤「行けよ。ワ~ンツ~ワンツースリーフォー!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「そしたら次は、こっちからこっちに、どんどん増えていきます。ワ~ンツ~ワンツースリーフォー!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「こっち!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「こっちも!」

観客「チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!チョイカワ!」

佐藤「もっと!」

観客「チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ、チョイカワ!」

佐藤「オーケー小野田、今日はありがとう。そしてみんなもありがとう!これから私達は、今から楽しんでいきますので、みんなも楽しめよ~!」