最近の私のブログは、マラソンネタばかりでモーニング娘。や佐藤優樹さんのことは一切触れないという、ホントこういうことでいいのだろうかと疑問に思うところもあるのですが、前回の信州野沢温泉ハーフマラソン大会に引き続き、昨日「トレイルラン」に参加して参りましたので、今回はそのお話をさせていただきたいと思います。

 

さて、ところでその「トレイルラン」とはなんぞやということですが、正式にはトレイルランニングと言いまして、いわゆる登山道を登って下りてくるというつまりは登山とランニングを掛け合わせた山岳レースなのです。だから持ち物も1リットル以上の水分や行動食、それに地図、コンパス、熊鈴、ウィンドブレーカー、ファーストエイドキットなどが必要となってきます。まあ名称やなんとなくの意味はみなさんご存知だと思いますが、こうした荷物を背中に担いで走るというのが「トレイルラン」またの名を「トレラン」というのです。

 

私もこうした競技は今回初めてでございまして、大会前夜などは興奮と緊張でまったく眠れず(それでもいつのまにかスヤスヤと寝たようですが)、翌朝は眠い目をこすりながらベッドから抜け出します。さあ天候はいかがでしょうか。なにせ台風が日本列島に接近中でございますからね・・・う~ん、さっぱりしない天気です。昨日のヤフー天気予報では晴れだったのですが、完全な曇天模様でございますと思っていたら、雨がパラパラと降り始めました。

 

とにかく準備をしましょう。水分は1.5リットルのポカリスウェットをリザーバーにセット、行動食は100円ショップのピーナッツチョコとフルーツグミ、スマホに地図をダウンロードし、あとは熊鈴か・・・いるのかなこれと思いながらも一応持っていきましょう。それからファーストエイドキット。最近ユーチューブで登山動画を見ることが多いのですが、ハチに刺されて大騒ぎしてたのがあったので、絶対これは必需品です。あとはウィンドブレーカーか・・・これはいいでしょう。今回の大会では、ロングコースとミドルコース、ショートコースとあって、私が出るのはミドルコース(累計標高差1,200m、距離16km)。その程度だったら大丈夫でしょうというかうすーい生地の携帯用のやつを持ってないので(今度買ってこようっと)。

 

そして車で会場へ向かい、指定駐車場に駐車します。雨は降ってません。ここは1,390年に開山された由緒正しいお寺さんの門前町でございます。ミドルコースのスタートは山門へと続く石畳を駆け上がり、標高751mの山を登って下り、再び山門に戻ってゴールとなります。観光客もちらほら見えますが、圧倒的にそれと分かる出で立ちの方々が目立ちます。最近のウェアのトレンドは赤や黄色の蛍光色を多用するようで、もっとも私も最初は黒づくめだったのがだんだんと赤色が占領し始めているので、仕舞いにはあの様になっていくのかもしれません。

 

とりあえず会場はどの方向だろうと思い、そこらに歩いてる如何にものスタイルの男性に声を掛けます。「会場はどっちですか?」するとその男性が答えるよりも早く、反対の通りから現れた女性が「こっち」と言って親指で示し、ついて来いと言わんばかりに大股で歩いていきます。あまりの颯爽とした姿に呆気に取られるのですが、彼女に従って私もその後ろをついて行きます。どうやら彼女はこの街の人らしく何人かに対し快活に挨拶しています。すらっと背が高く年齢は30代といったところでしょう。子供のころからスポーツが得意だって顔をしています。こんな山岳レースに出ようっていうんですから、健康のためジョギングを始めましたなどという普通の一般人はここにはいません。いわゆるところの猛者ばかりが集まっているのです。あっ、ちなみに私はこの齢になるまでスポーツとは縁遠い生活を送ってきたので、完全なマイノリティーですね。だいたい参加者の年齢層がもう本当に若い!これまでのマラソンコースの顔ぶれとは全然違います。

 

いつしか天候はどしゃ降りの雨となります。そうした中「トレイルラン」はスタートし、ずぶ濡れの私達は石畳をバタバタと走り抜けて行きます。沿道ではたくさんの人達が傘をさしながら応援してくれていて「いってらっしゃーい」とか「がんばれよー」といった声が方々から上がっています。私はものすごく控え目に中盤よりも若干後ろからついて行きます。山で迷うと大変なので誰かの後ろをついていくのが一番安全なのです。しかしながらその一団も登山道の入口で大渋滞を起こします。普通そういった道というのは人一人が通るのがやっとというケースが多く、私達は数珠つなぎとなって登山道を登って行くのですが、ペースが物凄く速い。ついて行けなくなった参加者がどんどん振り落とされて行きます。私は友人とともに登った数々の山々を思い出し、遮二無二食らいついて行きます。

 

そして登りきったところでアスファルトの林道に出ます。今度は延々と下り坂が続くのですが、これは私が得意としているところです。雨で足を滑らさないよう軽快にすっ飛ばし、調子こいて何人も抜かしていると私の後ろからドタドタドタという豪快な足音を鳴らしてやって来る者がいます。あっという間に私を抜き去っていく人物は、20代くらいの女性です。みるみるうちに私との差は開いていき、いつの間にか姿かたちも見えなくなってしまいます。それから少し広めの登山道に入り、今度は延々と続く登りです。せっかく何人も抜かしたのに、ここでその全員に抜かれてしまいます。やはり登りは不得意です。

 

登りの途中でエイドが待っています。普通そうしたところに置いてあるのは水やスポーツドリンクぐらいなのですが、ここでは何故かコーラなんかもあって、あとナシやバナナ、チョコレートとかもあったのかな。私を抜き去った連中は全てここで補給しています。チャンスですね。ポカリもチョコレートも持ってんだからこんなところに用などありません。躊躇なくその場を離れ、登山道を登っていきます。振り返っても誰も来ません。よし、と思ったら俄然やる気が漲り登るペースも上がっていきます。

 

いつの間にやら登山道は下りとなり、道幅も狭くなっていきます。雨は相変わらずで道はぬかるみとなっています。最初はちょっとの汚れでも気にしていたのに、もうこうなったらどうにでもなれという気持ちになってきます。どこ行ったってドロドロでどうかすると10cmぐらいめり込んでいくのですから。そのうち下り坂が急になっていきます。登山道ではよくあることです。さあ、目の前にたぶん誰かが滑って下りたであろう坂が現れます。距離にして10mぐらいでしょうか。私は意を決し、ままよとそこを駆け下りていきます。確かに途中までは地に足がついていました。しかし坂が終わったところで私を止めるものは何もありません。一瞬にして私は前のめりで転び体じゅう泥だらけになってしまいます。多少胸のあたりを打ったのですが、骨は折れていないようです。すぐに起き上がってまた走り出すのですが、もうこれをきっかけに私はもっと大胆に飛びまわり、まさしくドロンコになって走るのです。

 

ゴール地点では、たくさんの参加者が集まっており、綺麗なお姉さんもみんな顔も服も泥だらけにして、まことに清々しい笑顔を見せて笑っています。そして私もまったく同様であり、この時私は「トレイルラン」の魅力の一端を知ることになるのです。