先日の過酷を極めた山行以来、全身の筋肉や関節が不協和音を鳴らし、とてもトレーニングどころの騒ぎじゃなくなっていて、それでそれにかこつけて日々の仕事に励んでいると、あっという間に週末がやって来るわけでございます。

 

さすがに1週間も経つと、これまで私を苛んできた全ての痛みは跡形もなく消え去り、代わりにこのまま8月のレースを迎えてしまっていいのか、いやまずもって12月のさいたま国際マラソンをどのように戦おうというのか?などといった疑問が頭をもたげ、それは次第に焦燥感へと変化していくのです。

 

今私がしなければならないことは・・・それは間違いなくトレーニングです。土曜日は、山岳縦走20kmをやりましょう。そして日曜日にはスポーツジムで時速12kmで10km走りましょう。いきなり山岳縦走からですかという声が聞こえてきそうですが、実は20kmもあるとかなりセーブしながら走ることとなり、結局のところ自分の限界までチャレンジ!なんてことは絶対にしないのです。そうするとスポーツジムでの通常運転である時速12kmの方が私的によっぽど大変なトレーニングとなり、そういうわけで復帰第一弾は山岳縦走からスタートということになるのです。

 

それから時速12kmのトレーニングでは、以前から申し上げているとおり、体の調子が良ければ10kmを楽に走ることができるのですが、例えば2日連続となると(筋肉痛が残っているため)8kmあたりで息が上がり始め、3日連続ともなると6kmあたりでそうなっちゃうのです。息が上がったらどうするのかというと、そのまま苦しい状態を継続して3km走ると何故か息が整ってくることを経験則から知っているので、とにかくガムシャラに死にものぐるいで(めちゃくちゃ挫けそうになりながら)ランニングマシーンに食らいついていくのです。

 

しかしながらそれは全て1週間前の話であり、こう長い期間トレーニングを休んでいるわけですから、ひょっとしたら心肺機能が元に戻っちゃって前のように全然10km走れなくなっちゃって、またまた最初っからやり直しという悲しい現実に直面することも考えられるわけです。そうすると今までの苦労はいったいなんだったんだ!ということになるわけですが、つまりは、この通常トレーニングでどのような感じで走ることができるのかということが、今後のレースを見据えた上で非常に重要になってくるというわけなのです。

 

ちょっと長ーい前置きでございましたが、それではこれより本論に入って参りましょう。

 

場面は、もう途中のお話は全部すっ飛ばして、その試金石となる1週間ぶりの通常トレーニングでございます。いつも私はイヤホンでハロプロの曲を聴きながら走っているのですが、だいたい11曲聴くと10km走ることになります。だから1曲、2曲とカウントしながらやっているのですが、問題は7曲目で息が上がるのか?ということになります。

 

しかして、その7曲目に差し掛かると・・・見事に(たぶん気持ち的にそうなりたくなかったから我慢していたんだと思うのですが、7曲目に入った途端、まさしく堰を切ったように)息が荒くなります。つまり、これまでの私の苦労は、昨日の20km山岳縦走も、先週の「体力・技術・危険の項目で最高グレードの登山コース」も、全て1週間の休養で水泡に帰したというわけなのです。

 

かなりブルーな気持ちが私を支配し始めます。とはいえどもランニングマシーンは、容赦なく時速12kmのペースで襲いかかってきます。彼の攻撃から逃れる術は、潔く負けを認めて退散するか、もしくは無謀にも立ち向かって行くのかとなります。しかし、ここでマシーンから下りたらそれこそ今までの全ての出来事が私の記憶から消えてしまうように思え、私は文字通りしがみつくように走り続けます。

 

今私がやっていることに何の意味があるというのだろう。1週間程度休んでそれですぐに戻っちゃうんだから、マラソンなんてやめた方がいいよ。だいたいフルマラソンなんて土台無理な話。50過ぎて何やってんだか・・・私の中で否定的な声ばかりが囁き続ける中、8曲目に、カントリーガールズのピーナッツバタージェリーラブのイントロが流れ始めます。メルヘンチックな、まるでディズニーランドにでも迷い込んだかのような、昼間の喧騒もエレクトリカルパレードも過ぎ去り、夜のしじまの中、遠くの方から優しいメロディーが聞こえてきます。

 

すぐに私は嗣永桃子さんのボーカルソロを期待します。ところが彼女の声は聞こえてきません。つまりこの8曲目はインストルメンタルだったのです。すかさず私は、走りながら左手を肩と同じ高さに、右手を腰につけます。これから私はエアでギターを弾き始めます。もう周りがどう思おうと知ったこっちゃありません。ジャーンと思いっきりストロークを決め、アルペジオを奏で、ボトルネックの音色を響かせるのです。

 

こうして私は、無事に10km走り切ることができたわけですが、ところでインストと言えば・・・佐藤優樹さんがやたらと〇〇のインストがいい!なんて発言しているのを耳にし、先日例のえっちゃん先生の動画でもそうした話がありました。そしてその同じ動画で、先生はまた「佐藤優樹は天才か!」なんて言ってましたが、小田さくらさんについてははっきり「天才」と認めてるんですよね。対して佐藤さんには、「か?」が付属します。それはその片鱗を見てそうあって欲しいという期待の現れなんだろうと思うところですが、先生が小田さんへの言及がそれほどなく佐藤さんに関しては驚きをもって且つとても嬉しそうにそういった話をするところを見ると、つまりはそれが彼女の大きな魅力ということなのでしょう。