瞼をこじ開けると

黄色く濁った目玉に上を向いたままの灰色の瞳


まじビンタでも全力で揺り動かしても
起きないアニオ

119に救急車要請

「兄が起きません 叩いても揺すっても」

119「右半身を下にして呼びかけ続けて
  下さい 嘔吐はされてますか」

「吐瀉物まみれです」

119「脳出血の可能性が非常に高いです」


"あぁ、遂にこの日が来たか"

 絶望と焦燥


救急車を待つ間も

アニオの右半身が下になるよう体勢を保ちつつ

両手もGパンもゲロ塗れになりながら

「救急車呼んだから!アニオの保険証探して!

 火の元止めて!直ぐに出られる様にして!」

と、恐ろしく耳の遠い母に怒鳴る勢いで指示



救急サイレンの音が近づいてきます


この時 既に


"このまま死んでくれないかな"


と、密かに願っていました