■1月3日 「曲がり角にきた」。NHK紅白歌合戦がそういわれて久しい。曲がり角続きで同じ方向にぐるぐる回るばかり。昨年の大みそかは反対側に曲がってはみたが、史上最低の視聴率。〝この先行き止まり〟の袋小路に突っ込んだ感じだ。消えた旧ジャニーズ勢の分なんとか盛り上げようとしたが、輪をかけて騒々しいだけだった。

中高年は「年忘れにっぽんの歌」(テレビ東京)を見ていろ、とでもいうのか若者向きのアニメソングやダンス&ボーカルグループばかり。別スタジオの映像をリアルタイムでCGにする手法で登場したグループもあった。動画サイトなどのアニメでイラストのキャラクターとして活動しているとかで顔も見せなかった。

かと思えば、わざわざ京都の東本願寺からシルエットだけで歌った女性歌手もいた。理解不能だ。「ボーダレス-超えてつながる-大みそか」のテーマの意味もよくわからなかった。もはや国民的歌番組などとは到底いえずNHK特有の〝自己満足〟だけで4時間半、持ちこたえたようなものだった。

余談ながら「年忘れ…」には中条きよしが登場したのは驚いた。この方、確か参院議員(日本維新の会)で2022年末のディナーショーを最後に芸能活動を引退したはず。いま与野党を問わず厳しい視線を送られている国会議員が歌う「うそ」はシャレにならない。VTR出演とはいえ時節柄、反感を覚えた人も多かったろう。

それにしても最新の映像技術を駆使した紅白は制作費も湯水のごとくでは。「ざっと5000人が関わり約3億円」と数年前耳にしたが、いまはそんなものではすむまい。司会者が「受信料を…」と何度か口にしていたのも無理ないか。