久しぶりにYouTubeに朗読をアップしました。
今回は、芥川龍之介の代表作『鼻』です。
タイトルはしっかりと知っていて、なんとなく内容も知っていると思い込んでいる作品。
青空文庫を読んでいると、そういった作品によく出会います。この『鼻』もまさにそのひとつでした。
ユーモラスな物語だと思っていましたが、改めて声を乗せて読んでみると、決してそれだけではない深さに気づかされます。
立派な人であっても他人の目を気にしてしまう弱さや、他人が幸せになることを素直に許せない人間の残酷さ。
内供の惨めな気持ちも痛いほど分かるし、一方で内供の鼻を笑う人々の心理も理解できてしまう……。「私も知らず知らず同じようなことをやってしまっていないだろうか」と、ハッとさせられました。
大人になればなるほど、じんわりと切なさが身に染みる作品かもしれません。
■ 芥川龍之介『鼻』のあらすじ・見どころ
あごの下まで垂れ下がる大きな鼻を持った僧侶・禅智内供(ぜんちないく)。
彼は自分の鼻に強いコンプレックスを抱き、どうにかして短くしようと試行錯誤を重ねます。
ついに念願叶って普通の鼻を手に入れた内供でしたが、彼を待ち受けていたのは周囲からの「思わぬ反応」でした。
他人の目を気にする人間の自尊心や、他人の不幸を笑い、人の幸せを素直に喜べない身勝手な心理(傍観者の利己主義)。
それらをユーモアと皮肉を交えて見事に描いた、時代を超えた傑作です。
■ 朗読音声はこちら(YouTube)
飾らないあたたかな低音で、丁寧に言葉を紡ぎました。
家事や作業のお供に、あるいはお仕事終わりのひとときに、ゆったりとお聴きいただけたら嬉しいです。
▼ 【YouTube】朗読『鼻』芥川龍之介