8.ブルース



8-1.ブルースのコード進行



ここでは、ブルースを、「ジャズやロック特有の8小節または12小節の繰り返しの音楽」と定義します。


ブルースの特徴は、ⅠやⅣに(メジャー・セブンスではなく)ドミナント・セブンスを用いることです。


以下は、有名な「You're My Sunshine」のコード進行です(Key=F。F7B♭7が特徴的です)。


F7 → F7 → F7 → F7 → B♭7 → C7 → F7 → F7


セッションなどでは、いわゆる「スリー・コード」で12小節をぐるぐる繰り返して演奏することが定番ですが、基本の進行は次のようになります。


Ⅰ7 → Ⅰ7 → Ⅰ7 → Ⅰ7 → Ⅳ7 → Ⅳ7 → Ⅰ7 → Ⅰ7 → Ⅴ7 → Ⅴ7 → Ⅰ7 → Ⅰ7


この基本形をベースに、以下のようにリハーモナイズして、色々なバリエーションを考えてみましょう。


セッションでの演奏だけでなく、作曲やコードアレンジにも有用かと思います(Key=C)。


1.C7 → C7 → C7 → C7 → F7 → F7 → C7 → C7 → G7 → G7 → C7 → C7(基本形)


2.C7 → C7 → C7 → C7 → F7 → F7 → C7 → C7 → G7 → F7 → C7 → C7


3.C7 → F7 → C7 → Gm7・C7 → F7 → F7 → C7 → A7 → Dm7 → G7 → C7・A7 → Dm7・G7


4.C7 → F7 → C7 → Gm7・C7 → F7 → F♯dim → C7 → Em7・A7 → Dm7 → G7 → C7・A7 → Dm7・G7


5.C7・C♯dim → Dm7・D♯dim → C7/E → Gm7・C7 → F7 → F♯dim → C7・F7 → Em7・A7 → Dm7 → G7 → C7・A7 → Dm7・G7


6.C7 → F7・B♭7 → C7 → Gm7・C7 → F7 → B♭7 → C7・Dm7 → Em7・A7 → Dm7 → G7 → C7・A7 → Dm7・G7


7.C7 → Bm7(♭5)・E7 → Am7・D7 → Gm7・C7 → Cm7・F7 → Fm7B♭7 → Em7 → A7 → Dm7 → G7 → C7・A7 → Dm7・G7


各々のバリエーションは、これまでのコード進行の解説で示してきた知識(セカンダリー・ドミナント、ツー・ファイブ分割、クリシェ等)で分析出来るはずですので、復習を兼ねてこれらのリハーモナイズの推移を理論的に考えられるようにしておいてください。


特にジャズのセッションなどでは、譜面で「基本形」のみが与えられていたとしても、上記バリエーションで各リード楽器奏者が「勝手に」解釈して演奏することが多々あります。


これらのバリエーションをある程度覚えて、また理論面から考えられれば、型にはまったブルース進行から一歩進んでより自由な演奏が出来るようになるでしょう。


なお、3.以降、最後の2小節で登場する、「C7・A7 → Dm7・G7」という進行は、「ターンバック」と呼ばれ、何コーラスも繰り返し同じ進行を演奏する際に、曲冒頭に戻るための進行です。



8-2.ブルー・ノート



ブルースを形成する特徴的な音が、「ブルー・ノート」と呼ばれる音です。


通常のメジャー・スケールやマイナー・スケールにブルー・ノートを加えた、「ブルー・ノート・スケール」という音階を使ってブルースは演奏されるのですが、ここでは、ブルー・ノートを挙げるだけにとどめます。


ブルー・ノートは、「♭3♭5♭7」の3つの音です。


Key=Cであれば、「ミ♭ソ♭シ♭」です。


スケールでご紹介しなかったのは、これらの音は、臨機応変に使用することによって「ブルージー」な雰囲気を醸し出すもので、ブルースだからといってずっとブルー・ノート・スケールを使い続けていればいいというわけではなく、ブルース進行ではない曲でブルー・ノートを用いてはならないというわけでもないからです。


演奏や作曲の際には、さりげなくブルー・ノートを加えると、ぐっとフレーズがブルージーで渋くなります。


特に、♭3や♭5は、マイナー感を強調するので、これらの音がコードトーンではない場合、使いこなすにはある程度経験が必要かもしれません。



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