4.コード
4-1.コードとは
「C」「Am」「G7」「FM7」「B♭9」「Dm7/G」「Bm7(♭5)」「C#dim」「E7sus4」…。
このようなアルファベットを中心とした記号のようなものをご覧になったことがある方は多いことでしょう。
これらは、コードネームという、コードを表すために用いられる表記です。
コードとは、「和音」の英訳であり、ポピュラー音楽においてはコードという用語が一般的に用いられています。
コード(和音)とは、高さが異なる複数の音の重なりを意味します。
ポピュラー音楽を実践する上で、コードの知識は最早不可欠な事項となっています。
と言うのも、現代のポピュラー音楽のほとんどが、コード理論を基礎に創作されていると考えられるからです。
これまで学んできた度数や調といった項目も、コード学習のための前提知識と言えます。
4-2.三和音(トライアド)
コードは、三和音を中心に考えます。
三和音(トライアドと呼ばれることもあります)とは言葉の通り、3つの音の重なりを言うのですが、無作為に3つの音を重ねて成り立つ音の響きは楽典上の三和音ではありません。
なお、2つの音の重なりも実際の音楽では当然のように用いられますが、これも、三和音以上のコードの構成音の一部が省略されたものと観念するため、殊更に「二和音」という用語は用いられません。
それでは、実際に三和音とはどのようなコードであるのかを解説していきます。
以下の例は三和音を示すコードネームです。まずはこの2つの三和音のコードネームが示すコードの仕組みを理解することがコード理論の出発点です。
・C
・Cm
「C」はそのまま「シー」、「Cm」は「シーマイナー」と読みます。
4-2-a.「C」とはどのようなコードか
「C」は三和音です。このコードネームはどのような音の重なりを表しているのでしょうか。
結論から示しますと、「C」は「ド・ミ・ソ」を構成音とする三和音です。
そして、三和音とは、
「ある音(根音=ルート)と、その3度上の音と、その5度上の音の3つの音から成るコード」
であり、
ある音(根音=ルート)とは、
「そのコードネームの最も左に記された英語音名が示す音」
です。
そのコードの中心となる音は根音(=ルート。以下、一般的であるルートという用語を用います)であり、コードネームが真っ先に示すのはこのルートであるということです。
さらに、三和音の定義上の3度上の音の3度とは、
「そのコードネームの最も左に記された英語音名の隣に「m」がなければ…長3度」
「そのコードネームの最も左に記された英語音名の隣に「m」があれば …短3度」
を示し、
5度上の音の5度とは、
「特別な表記(後述。♭5、♯5、dim等)がなければ、完全5度」
となります。
以上のことから、「C」は、C(=ド)の音をルートとする、「ド・ミ・ソ」から成るコードということになります。
ミは、ドから見て長3度であり、ソは、ドから見て完全5度です(2.度数の解説参照)。
4-2-b.「Cm」とはどのようなコードか
こちらも「C」と同じく三和音なのですが、「C」と異なるのは、「3度が短3度である」ということです。
つまり、「Cm」は「ド・ミ♭・ソ」から成るコードです。
ここで、「Cm」の小文字のmが、短3度を表すことが解るかと思います。
Cmも、ルートはド、5度音は完全5度であるソであることは変わりません。
では、ここまでの知識を使って、以下のコードネームの構成音も考えてみてください。お気づきの通り、度数の理解が不可欠です。
1.G
2.Am
3.B♭
4.F♯m
(回答)
1.G…「ソ・シ・レ」
2.Am…「ラ・ド・ミ」
3.B♭…「シ♭・レ・ファ」
4.F♯m…「ファ♯・ラ・ド♯」
「C」「G」「A♭」のような、コードネームに小文字のmが付かないコードを「メジャーコード」、「Cm」「F♯m」のような、コードネームに小文字のmが付くコードを「マイナーコード」と呼びます。
そのコードが三和音であれば、それぞれ、「メジャートライアド」、「マイナートライアド」と呼びます。
この他にも三和音は存在しますが、以上が基本中の基本ですので、その他は後述します。
4-2-c.「3度音」の役割
これまでの説明で解るように、メジャートライアドとマイナートライアドの違いは、
「3度音が(ルート音から見て)長音程か短音程か」
のみです。
つまり、3度音の存在がそのコードがメジャートライアドかマイナートライアドかを決定するのです。
そして、これも一般的な音のイメージですが、メジャートライアドに比べてマイナートライアドは、「暗い・哀愁」という印象をもたらす響きです(この違いは、長調と短調の違いと共通するところです)。
このことから、3度音は、そのコードの色彩感に大きく影響を与える重要な音である、と言うことがご理解いただけるかと思います。
次回は、四和音(セブンスコード)の解説に入ります。