3-4.調号
D Major Keyであれば「レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド♯(・レ)」、E♭Major Keyであれば「ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド・レ(・ミ♭)」のように、C Major Key(およびその平行調たるA Minor Key)以外のKeyでは、♯や♭つきの音が必ず登場しますが、その音が出てくるたびに♯や♭の臨時記号を付けていたのでは非常に煩雑ですし極めて見づらい楽譜となってしまいます。
そこで用いられるのが「調号」です。
これは楽譜の左側に付された♯や♭のことで、その曲を楽譜に従って演奏する際、調号の付された音は全て♯または♭させて演奏することを指示するものです。
目にしたことがある方がほとんどでしょうが、その意味するところを理解している方は多くはないはずです。
この調号は、文字通り、「調を示す記号」なのです。
上述の例では、D Major Keyの曲の楽譜には、ファとドの位置に♯が付され(平行調たるB Minor Keyも同様)、E♭Major Keyの曲の楽譜には、ミとラとシの位置に♭が付される(平行調たるC Minor Keyも同様)ということになります。
本書は譜面を使わないで作曲理論を学ぶというコンセプトではありますが、楽譜上の調号を一見しただけでその曲のKeyが判別できるようにしておく必要はあります。
以下に、各Key毎に♯または♭の調号が付く個数を示します。
何故その個数になるのかは、長調・短調がどのような仕組みで成り立っているのかを分析する知識が身についていれば自ずと明らかになることです。
C Major Key=A Minor Key・・・0
「調号に♭が用いられるKey」
F Major Key=D Minor Key・・・♭×1
B♭Major Key=G Minor Key・・・♭×2
E♭Major Key=C Minor Key・・・♭×3
A♭Major Key=F Minor Key・・・♭×4
D♭Major Key=B♭Minor Key・・・♭×5
G♭Major Key=E♭Minor Key・・・♭×6
「調号に♯が用いられるKey」
B Major Key=G♯Minor Key・・・♯×5
E Major Key=C♯Minor Key・・・♯×4
A Major Key=F♯Minor Key・・・♯×3
D Major Key=B Minor Key・・・♯×2
G Major Key=E Minor Key・・・♯×1
2つ以上の調号が付くKeyの調号の付し方には一定のルールがありますが、最もわかりやすいと思われる方法を記します。
「♭系のKey」…左端にまずシの位置に♭を付す
1.♭が1つのF Major Keyはシが♭するので、シの位置に♭を付ける。
2.以降、シから完全4度上の音の位置に、♭を右隣に順次付けていく。
「♯系のKey」…左端にまずファの位置に♯を付す
1.♯が1つのG Major Keyはファが♯するので、ファの位置に♯を付ける。
2.以降、ファから完全5度上の音の位置に、♯を右隣に順次付けていく。
これも、ただ暗記するだけではなく、これまでのMajor KeyおよびMinor Keyの構造をしっかり理解した上で、各Keyにおける調号の付し方を検討するようにしてください。
次回より、いよいよ「コード」についての解説分を掲載いたします。