3-3-b.「短調」の印象
EX)ドナドナ
「ミ↓ラ↑シ↑ド↑レ→」 「ミ↓ラ↑シ↑ド↑レ→」
「ミ↓ラ↑ファ↓ミ↓レ」 「ド↓シ↓ラ→」
Minor Key入門曲の代名詞ともいえる「ドナドナ」のメロディです。
「ラ」の音で落ち着くA Minor Keyの曲です。
A Minor Keyは使われている音は全て「ドレミファソラシド」音階に含まれる音でC Major Keyと変わりませんが、「チューリップ」「かえるのうた」などとはだいぶ印象が違い、幾分悲しげで哀愁漂う旋律であることがわかります。
終わりの「ラ」の音も、もちろん解決感は強いですが、何だか悲しい終わり方に聴こえるのではないでしょうか。
このように、短調(Minor Key)は、「暗い」「悲しい」「哀愁」などというイメージが一般的です。
その代表は日本の演歌で、ほぼ例外なくMinor Keyで作られています。
ただし、長調の解説のところでも述べましたが、これはあくまでも長調との相対的なイメージであり、かつ一般的なものです。
ハードロックなどは短調で作られることが多いですが、これは「暗い」「哀愁」などのイメージを狙っているわけではなく、「カッコよさ」「クールさ」「ブルージーさ」を出すことを目的としていることがほとんどなのです。
また、前述のとおり、あるMinor Keyは、平行調たるMajor Keyと構成音が同一ですから、1曲中にMajor KeyとMinor Keyが混在することがほとんどですし(A Minor Keyの曲中、部分的に平行調たるC Major Keyの箇所が出てくる、あるいはその逆)、「ドナドナ」のような典型的Minor風な曲ならともかく、その曲がMajor KeyなのかMinor Keyなのか判然としない場合もありえます。
3-3-c.平行調一覧
C Major KeyとA Minor Keyのような、平行調の関係にあるものを一覧にまとめます。
なお、以下のKey一覧は順不同ではなく、五度圏(Circle of Fifth)という一定法則に基づくものですが、現時点での詳述は避けます。
C Major Key=A Minor Key
F Major Key=D Minor Key
B♭Major Key=G Minor Key
E♭Major Key=C Minor Key
A♭Major Key=F Minor Key
D♭Major Key=B♭Minor Key
G♭Major Key=E♭Minor Key
B Major Key=G♯Minor Key
E Major Key=C♯Minor Key
A Major Key=F♯Minor Key
D Major Key=B Minor Key
G Major Key=E Minor Key
また、主音を同じくする長調と短調という関係の場合、それぞれの調を「同主調」と呼び合います。
C Major KeyとC Minor Keyは、どちらもド(=C)を主としますので、同主調です。
これは一覧にするまでもないでしょう。概念をしっかり理解しておけば足ります。
次回は、「3-4.調号」の解説を掲載し、次々回から「コード」の解説に入ります。