3-1.ハ長調とは何か(続き)



ア.和音名


「ドレミファソラシド」を和風読みすると「ハニホヘトイロハ」となります。

いろは歌を用います。

これを「和音名」と呼びます。

まずは以下の図表で覚えてしまいましょう。

※図5


楽譜要らずのポピュラー音楽理論



イ.「長音階」の構造

※図6


楽譜要らずのポピュラー音楽理論


上記の12音から、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」を抜き出して並べた長音階によって成り立つ長調がハ長調と述べましたが、その長音階の音間隔を見てみましょう。

これは非常に重要です。

「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」

の並びになっているのがお分かりいただけるかと思います。

これが「長音階」の仕組みです。

この、「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」の構造を持つ長音階で作られ、かつ、「ド」の音が全体の支配者となる(ドで終わると落ち着く)長調が、ハ長調というわけです。

ドが支配者ですから、「ド」から始まる長調であり、「ド」で落ち着く長調です。


ウ.「長調」の印象


調には、今説明している長調の他に「短調」があり、これについては後述しますが、短調との相対的な比較において、長調は一般的に「明るい」印象があります。
先ほど、

長…明るく
調…終わる(落ち着く)

と書きましたが、これが長調のサウンド的な特徴と言えます(あくまで、短調との相対的な比較、かつ一般的な特徴です)。


エ.どの「長音階」も構造は変わらない


カラオケなどでよく、「キーを上げる」、あるいは「キーを下げる」といった操作を行ったことがあるかと思います。

それは、調を移動させているということなのです(後述しますが、キーという言葉は調とイコールです)。

例示すれば、「ハ長調(ハ(ド)を支配者とする長調)」から「ニ長調(ニ(レ)を支配者とする長調)」への移動といったような作業です。

これをよくキーを「一音上げる」などといいます。

長調というのは、「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」の構造を持つ長音階で成り立っており、それを崩さずにそのまま別の音へと支配音をスライドさせる作業が移調です。

それでは、ニ長調とはどのような音階を持つのでしょう。

ニ長調を言葉で説明すれば、「ニ(レ)を支配者とする長調」ですが、これは前述のように、「ニ(レ)から始まる長音階を持つ長調」とも言えます(ある音階の開始音がつまりその音階で成り立つ調の支配音なのです)。

ですので、ニ(レ)の音から、「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」と並べていった音階で成り立つ長調が、ニ長調となるのです。

※図7


楽譜要らずのポピュラー音楽理論


「レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド♯・レ」の長音階を持つ長調が、ニ長調となります。

長音階の並びは、どの音が支配者となっても、「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」の構造なのです。

この構造が崩れたら長音階ではないのです。

例えば「チューリップ」を別の調で歌うあるいは演奏する場合、各音の間隔を平行にスライドさせないと、それは本来のチューリップではないメロディになってしまいます。

このように、「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」の構造が長音階であるということを知っていれば、どの音を支配者(開始音)とする長調の音階もわかるということになります。

ある音から「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」で並べられた長音階によって成り立つ長調=そのある音を支配者とする長調ということです。

長音階の音の並びを、

「ゼン・ゼン・ハン・ゼン・ゼン・ゼン・ハン」

と呪文のように唱えて覚えてしまいましょう。

なお、和音名では、♯を嬰、♭を変、と言います。


※次回から、3-2.音名、調、音階の英語表記、3-3.短調などの項目を掲載します。


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