3.調



3-1.ハ長調とは何か


3-1-a.調性


「ソ→ソ↓ミ↑ソ↑ラ→ラ↓ソ→」 どーのーはーなーみーてーもー
「ミ→ミ↓レ→レ↓ド→…」 きーれーいーだーなー

「チューリップ」のメロディです。

仮にこの曲が、「どのはなみても」の「も」の音(ソ)で終わる曲だとしましょう。

尻切れとんぼで終わった感じがしないことでしょう(先を続けたくなる)。

それに対して、「きれいだな」の「な」の音(ド)が来ると、「ここで終わったんだな」「落ち着いたな」という安心感、充足感(?)のようなもので満たされるはずだと思われます。

これは、このチューリップという曲が、「ドレミファソラシド」という音階で作られていて、その全体を支配するのが「ド」という音だからです。

メロディが常に、落ち着きを求めて「ド」への解決を求めているとも言えます。

ドが全体の支配者で、他の音がそれに従属しているこの例のように、音同士に支配・従属という主従関係が感じられる時、その曲には「調性がある」といいます。

調性がないメロディとはどういうものでしょうか。

それは、皆さんにわかりやすく言うと、「落ち着く場所がわからないメロディ」です。

EX)無調性
「ド↑レ↑ミ↑ファ♯↑ソ♯↑ラ♯↓ファ♯↓ミ↑ソ♯↓レ…」

このメロディにも、「ホールトーンスケール」という音階の名前があるのですが、絶対音感のある方以外は容易に口ずさむことさえできないでしょう。

何より、「チューリップ」の最後のドの音のように強烈な終止感・解決感を持った音が存在しません。

このように、落ち着く音(音階全体を支配する音)が定まらない状態を、「調性がない」「無調性」と呼びます。

なお、上記の「調性」を感じさせる一定の音組織を「調」と呼び、「調」には「長調」と「短調」があります。

長調と短調については後述します。

ところで、チューリップの「ドレミファ…」音階で作られた曲と、EX)のような調性を感じない曲とでは、何が違うのでしょう。

これは、調性の有無がどのような違いから生じるかという問題です。

「ドレミファ…」音階に調性を感じる理由、理論教育の観点からはNGな回答ですが、それはズバリ、我々が幼いころから「ドレミファソラシド」音階の教育を受けているからです。

要するに、ドレミファ…で作られている音楽を聴き慣れていて、ドレミファ…音階で作られた曲では最後に「ド」が来ると落ち着く耳になっているのです。

実際に「何故落ち着くのか」を説明することも可能ですが、ここではまず結論ありきで、聴き慣れた「ドレミファソラシド」音階がどのような仕組みで出来ているのかを説明します。

それが明らかになれば、自由に「調性のある旋律」を作ることが可能になります。


3-1-b.長調


※図4

楽譜要らずのポピュラー音楽理論


低いドから高いドまでは、上記のような音が存在します。

その中から「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」を抜き出した物が、先ほど皆さんが調性を感じ、「ド」が最後に来ると落ち着くと感じた音階です。

この「ドレミファ…」音階によって成り立つ調を「ハ長調」と呼びます。

音楽の授業をマトモに受けていなかった方でも、聞いたことはある言葉でしょう。

まずは、この「ハ長調」という単語の意味を以下に示します。

ハ…「ド」で
長…明るく
調…終わる(落ち着く)


「ハ」と「長調」の二つに分けてこの単語を考えるとわかりやすいです。

「ハ(=ド)」の音で「明るく落ち着く(=長調)」

ということです。

そして、長調を構成する音階のことを「長音階」と呼びます。


次回はこの続きです。


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