2-1-c.長音程と短音程、増音程と減音程、完全音程



では、ドとレ♯間の距離を度数で表すにはどうすればよいのでしょう。

ドからミ間が3度だから、レ(2)とミ(3)の間はいわば2.5度です。

考え方はこれで正しいです。

が、度数の表現としては誤りなのです。

少数は使いません。

結論から言うと、答えは

「増2度」または「短3度」(ミ♭と捉えた場合)

です。

なぜそのような呼び方になるのか、順を追って説明しましょう。


ア.もともとの「ドレミファソラシド」に当てはめられた度数のうち、2・3・6・7は、全てアタマに「長」がつく。


ですので、先ほど、ドとミ間は3度と述べましたが、より正しく度数で表現するなら、「長3度」ということになります。

同じく、ド-ラは「長6度」、ドーシは「長7度」ということになります。

※図3


楽譜要らずのポピュラー音楽理論


長3度、長6度のような音程を総称して、「長音程」と呼びます。


イ.長の音から半音下の音を「短」と表現し、長音程が半音分狭くなった音程を「短音程」と表現する。


ウ.長の音から半音上の音を「増」と表現し、長音程が半音分広くなった音程を「増音程」と表現する。



上記例題の答えがこれで明らかとなります。

ド-レ間は長2度(ア.参照)、であるので、レよりも半音上のレ♯の音はドから見ると「増2度」ということになります。

同じく、ド-ミ間が長3度であるというところから出発すると、ミよりも半音下のミ♭の音はドから見ると「短3度」です。

それぞれの音程を「短音程」「増音程」と呼びます。

長音程を基準とした場合の度数の考え方は以下の通りです。


短 - 長 - 増


エ.もともとの「ドレミファソラシド」に当てはめられた度数のうち、4・5・8は、アタマに「完全」をつけて呼ぶ。



ド-ファ間は「完全4度」、ド-ソ間は「完全5度」ということになります。

なお、ドード△間は「完全8度」でオクターブという関係ですが、通常これを「完全8度」とは表現せずに、単純に「8度」「オクターブ」と呼ぶ方が一般的です。


オ.完全音程が半音分広くなった音程を「増音程」と表現する。


これは、ウ.と同様に考えて結構です。

ド-ソ間は完全5度(エ.参照)、であるので、ソよりも半音上のソ♯の音はドから見ると「増5度」ということになります。


カ.短の音から半音下の音を「減」と表現し、短音程が半音分狭くなった音程を「減音程」と表現する。また、完全音程が半音分狭くなった音程を「減音程」と表現する。


例えば、ド-シ間は「長7度」(ア.参照)、ド-シ♭間は「短7度」(イ.参照)ですが、ド-シ♭♭間はどうなるでしょう(シ♭♭(ダブルフラット)というのはラと同じ音ですが、シのダブルフラットという音を観念しなければならない場合もあるのです。ディミニッシュコード等)。

この音程は「減7度」と表現されます。

また、ド-ソ間は完全5度(エ.参照)、であるので、ソよりも半音下のファ♯(これはつまりソ♭です)の音はドから見ると「減5度」ということになります。

こちらの方がピンとくるでしょう。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、完全音程においては、長短の概念を用いません(ドーソ♭間を「短5度」とは呼ばないということです)。

乱暴な言い方をすれば、長短の概念をひとくくりにしたものが「完全」という概念だともいえます。

それは、以下のまとめを見ていただければ理解できるかと思います。


減-短-長-増

減- 完全 -増



※次回は、2-2.より「正確な音程の定義」を扱い、次々回より「調」の解説分を掲載します。


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