子育てをしていると、子どもを制止する言葉が欠かせませんね。「○○はダメよ」とか「△△してはいけません」など、枚挙にいとまがありません。

 

 「〇〇するな」というこれらの言葉を、【否定形の言葉】と言います。

実は、脳はこの否定形を認識できません。ここで言う“脳”とは、俗に言う【無意識】のことです。

 つまり、「〇〇するな」を意識のレベルで理解はできるけど、無意識は、「するな」をイメージできず無視し、「〇〇」だけを記憶します。その結果、「〇〇」が止められなくなるのです。

 

例えば、ダイエットのために「甘いお菓子は食べないぞ」と決めた瞬間から、イチゴのショートケーキが頭から離れず、「あー美味しい❤」と、食べてしまうのはそのためです。大丈夫です、あなただけではありませんから。

 

 子どもも全く同じです。「テーブルに乗ってはいけません」と言われても、子どもの無意識は「いけません」を認識しないので、「テーブルに乗る」が強化され、テーブルに乗ることしか考えられなくなるのです。あなたにとってのショートケーキですね。「やめなさい」と言えば言うほど、止められなくなるのです。

 

 保育園でも、テーブルに乗る子はいます。そんな時私(園長)は、「抱っこしようか」とか「お、○○ちゃんがおイスに座るよ」などと声を掛けます。すると、わりとスムーズにテーブルから降りますよ。

 

 多くの大人は、いけないことや欠点を直そう、変えようとして注意したり叱ったりします。その結果、失敗や欠点を増幅させてしまうのです。そしてまた叱り、最後には怒って、親子で泣くことになるのです。

 

 テーブルに限らず、子どもは、大人にとっての不都合なことをたくさんやります。そんなときは、止めさせる働き掛けではなく、違う何かを始めさせる働き掛けで、乗り切ることができますよ。