夜空を彩る月と花火。

 

新月は花火を際立たせる。

満月ならば趣を添えるだろう。

 

海辺で見る花火はまた格別だ。     

遮るものもなければ、背景は彼方の水平線だ。

潮の香りと時折り聞こえる波音が心を軽くする。     

海風もまた心地よい。

 

明るくなった瞬間に、浮かび上がる無数の船。

空と海に映る花火を船上から見るのはさぞ美しいだろう。

 

一直線に登り、開花しては

パラパラという音とともに

海面に落ちてゆく光の粒たち。

 

次はどんな花火かと期待から始まり

その一瞬に心踊り、余韻へと続く特別な夜。

それはフィナーレまで繰り返される。

何度も何度も。

 

冬の花火はとりわけ美しい。

空気が澄んでいるから鮮明に夜空に映る。

凛とした花火だ。

 

今は昼花火というものもある。

それもまた、違う世界を見せてくれるのだろう。

 

都会で見る花火はとても華やかで賑やかだ。

なのに、どこか物足りなさを感じてしまう。

                     

そこには闇夜がない。

一晩中、街の明かりが消えることはない。

 

どこまでも続くビル群の明かりを背に

絶え間なく開く色彩豊かな花火。

途切れることなく、これでもかと。

 

足りないのではなく、足り過ぎているからかも知れない。